中居正広・フジテレビ問題、兵庫県知事選問題からドナルド・トランプ米大統領による関税問題、昨今の「米騒動」まで、今の世の中には「白黒つけがたい」「もやもやする」ニュースがたゆとうている。「誰が悪いのか」「原因は何なのか」はっきりしないままに、事態は流動化し、社会は「消化不良」のような状態になっている。
ニュースの作り手にすれば、重たい空気を振り払うような「ニュース」がほしい。それは何と言っても「大谷翔平」なのだ。
MCが「大谷選手やりました。今日もホームランを打ちました」と高いトーンで伝えることで、スタジオの空気は一変する。大谷大活躍のニュースには「重たいもの」「うーんと考え込むようなもの」はまったくふくまれていない。彼のキャラクターと同様「爽やか100%」なのだ。
それにすがりたいメディアの気持ちも、わからないではない。
日本メディアの過剰な内向き志向
もともと日本のメディアは、海外で現地事情に配慮せず「自分たちの知りたいことだけをつまみ食いする」習性があった。
プロゴルファーの石川遼が売り出し中だった2010年頃、当時圧倒的な第一人者だったタイガー・ウッズのアメリカツアーでの記者会見で、日本のテレビメディアが何の前置きもなく「石川遼についてどう思うか?」と聞いたことがあった。ウッズは如才なく「いい選手だと思うよ」とやり過ごしたが、これは現地メディアのひんしゅくを買った。
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