しかし日本での「大谷推し」は「試合で活躍したから」だけではない。大谷のMLBでの成績が歴史的なものだということは野球好きなら理解できるが、一般の人々はその価値をわかっていない。「50‐50」と言われてもピンとこない。大谷翔平は、野球好きだけでなく、あまり野球を知らない人も含めて、日本人を夢中にさせているのだ。
それは圧倒的な「爽やかイメージ」によるものだ。大谷はいわゆる「ソース顔=彫りの深いくっきりした男前」ではなく「しょうゆ顔=穏やかで人のよさそうな顔立ち」だ。そのしょうゆ顔が盛り上がった巨大な肉体の上に乗っている。そのアンバランスさがまず魅力だ。
「品行方正キャラ」ではない大谷
そして大谷は決して修行僧のような「品行方正キャラ」ではない。日本ハムの1年先輩の近藤健介(現ソフトバンク)が「クソガキ」と言ったように、大谷は時として先輩選手でさえ、ため口でからかったり、いたずらを仕掛けるなど、子どもっぽい部分も持ち合わせている。
2023年の第5回WBC(ワールドベースボールクラシック)で大谷は投打で活躍をして日本の世界一に貢献し、MVPを獲得しているが、そのドキュメント映画「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」で、大谷は、優勝が決まった瞬間にマウンドでグローブを高く放り投げている。この映画は「俺のグローブどこ?」という大谷の一声で終わるのだ。
巧まずしてユーモラスな言動ができる大谷の人間性は持って生まれたものだろう。
そのシーズンのオフに、大谷は6万個ものグローブを日本全国の小学校に寄贈している。世界一の舞台で大谷が放り投げたグローブは、日本全国の小学生のもとに届いたともいえよう。
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