鉄道各社がうらやむ?JR西「新オフィス」の実像 カラフルな社内、席は自由に選べる…成果出るか
管理職にとっては、今までなら部署単位でまとまって仕事をしていたので、「おい」と呼べばすぐに部下がやってくるという環境があったが、新しい部署ではそうはいかない。ビーコンによって部下がどこで仕事をしているかを把握できているとしても、部下を四六時中監視しているわけにはいかない。
「部下の働きを把握しつつも信じて任せる狙いがある」とオフィス移転の担当者が説明してくれた。部下にしても、出社イコール仕事ではなく、成果を出すことが求められるようになる。
このように社員の席を固定せずに、自由に席を選んで利用するワークスタイルは「フリーアドレス」と呼ばれ、IT企業などを中心に導入が進む。
「フリーアドレス」は効果生むか?
もちろん、このような仕事のスタイルにはメリットばかりではなく、デメリットもある。

鉄道本部の他チームのメンバーとのコミュニケーションが取りやすくなる反面、チーム内のコミュニケーションの機会が減ることで、従来よりも効率が悪くなったり、新たなアイデアが出てこなかったりといった事態が起きるかもしれない。JR西日本はチーム単位の席を作るなどの方法でコミュニケーションを維持できると考えているが、はたしてどうか。
また、他チームとのコミュニケーションにしても、同じ人がいつも同じ場所に座るようになると、周囲の顔ぶれが固定化してしまうおそれがある。2階のイベントスペースで勉強会などを開催するのも社員同士の交流を促したいという目的があるのだろう。
新オフィス移転からまもなく半年。そこで働く社員たちがどのような成果を生み出すか。数字で示すことは難しいだろうから、今後の鉄道事業の舵取りを見守っていくしかない。危機を未然に食い止めることができたり、新しい発想の業務改善が行われるようになったりすれば成功といえるだろう。また、鉄道本部に続き、JR西日本のほかの部署でも同様のオフィス改革に踏み切るかどうかにも注目したい。

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら