鉄道各社がうらやむ?JR西「新オフィス」の実像 カラフルな社内、席は自由に選べる…成果出るか

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管理職にとっては、今までなら部署単位でまとまって仕事をしていたので、「おい」と呼べばすぐに部下がやってくるという環境があったが、新しい部署ではそうはいかない。ビーコンによって部下がどこで仕事をしているかを把握できているとしても、部下を四六時中監視しているわけにはいかない。

「部下の働きを把握しつつも信じて任せる狙いがある」とオフィス移転の担当者が説明してくれた。部下にしても、出社イコール仕事ではなく、成果を出すことが求められるようになる。

このように社員の席を固定せずに、自由に席を選んで利用するワークスタイルは「フリーアドレス」と呼ばれ、IT企業などを中心に導入が進む。

「フリーアドレス」は効果生むか?

もちろん、このような仕事のスタイルにはメリットばかりではなく、デメリットもある。

JR西日本 鉄道本部
IT企業を思わせるオフィススペース(記者撮影)
【写真をもっと見る】同業他社などから見学の要望も多いというJR西日本の新しい鉄道本部のオフィス。部署でなく機能で分けたという各フロアの様子は?

鉄道本部の他チームのメンバーとのコミュニケーションが取りやすくなる反面、チーム内のコミュニケーションの機会が減ることで、従来よりも効率が悪くなったり、新たなアイデアが出てこなかったりといった事態が起きるかもしれない。JR西日本はチーム単位の席を作るなどの方法でコミュニケーションを維持できると考えているが、はたしてどうか。

また、他チームとのコミュニケーションにしても、同じ人がいつも同じ場所に座るようになると、周囲の顔ぶれが固定化してしまうおそれがある。2階のイベントスペースで勉強会などを開催するのも社員同士の交流を促したいという目的があるのだろう。

新オフィス移転からまもなく半年。そこで働く社員たちがどのような成果を生み出すか。数字で示すことは難しいだろうから、今後の鉄道事業の舵取りを見守っていくしかない。危機を未然に食い止めることができたり、新しい発想の業務改善が行われるようになったりすれば成功といえるだろう。また、鉄道本部に続き、JR西日本のほかの部署でも同様のオフィス改革に踏み切るかどうかにも注目したい。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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