【日産自動車の城下町に激震が走った工場閉鎖報道】主要車種の生産を担い、開発の拠点でもある追浜工場の今後は?その歴史から考察する

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追浜工場は、1周約4kmのグランドライブと呼ばれるテストコースも有している
追浜工場は、1周約4kmのグランドライブと呼ばれるテストコースも有している(写真:日産自動車)

そのほか、グランドライブと呼ばれる試験路が追浜にはあり、その敷地はやや小規模ではあるものの、バンクを備えた外周路や、屈曲路などがある1周4kmのコースを軸に、日常的な運転での車両確認ができる施設である。そのグランドライブでは、自動車ジャーナリストなどの媒体関係者を招き、公道では体験しにくい試乗もときに実施している。

余談ではあるが、2003年に厚生労働省管轄の現代の名工をテストドライバーとしてはじめて受賞した加藤博義は(翌2004年には「黄綬褒章」を受賞)、追浜の試験場で運転の腕を磨いたとされる。

重要な研究・生産技術の拠点

2022年に総合研究所で公開された、全固体電池の試験生産設備
2022年に総合研究所で公開された、全固体電池の試験生産設備(写真:日産自動車)

また、追浜には日産総合研究所があり、ここでは、単なる車両開発ではなく、たとえば電気自動車(EV)導入に備えたバッテリー研究を行ったり、EVを活用したスマートグリッドや、人工知能(AI)などを研究するだけでなく、それらが社会でどのように活用されたり受け入れられたりするかといった周辺環境との社会的関係性を含め、幅広くクルマの未来を研究する拠点となっている。

さらに追浜は、生産技術におけるマザー工場の位置づけにあり、世界に展開する生産工場の製造方法を検討し、どの地域においても同じ品質で新車製造ができる基準づくりを行う工場の役目がある。。

以上のように、売れ筋の車種の生産に加え、走行試験、先進的先端技術の開発、世界統一品質を保証する生産手法の構築といった、各種重要な役割を担う追浜工場を、そう簡単にほかへ移すのはむずかしいし、それら多種多様に担ってきた役割を、別の拠点に集約することも容易ではないだろう。

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