「舞妓の仕込みは裏方のポジションですね。ただ『芸のためなら』みたいな根性論は嫌いじゃないので、そこまで苦ではありませんでした」
月に2回の休みで手元に残るのは2万~5万円程
中学3年生の3学期に仕込みが始まって、16歳で舞妓としてデビューした。
「そこからは生活がガラッと変わりました。自由がなくなります。舞妓になると月に2回しか休みはありません。基本的に仕事漬けです。それでいて給料はありません。衣食住は“置屋さん”が面倒を見てくれるけど、お金として手元に残るのは“お小遣い”だけです。2万~5万円くらいですね」
すべてはそのお金でやりくりしなければならない。
白粉(おしろい)、生理用品、お礼用の手紙の便箋など全部自腹だ。ほとんどお金は残らない。
実質タダ働きに近い。
「『芸を学ばせてもらっているのだから当然』という考えです。舞妓は“職業”ではなくてあくまで“修行中の身”なんです。
“奉公期間”があって、たとえば6年+お礼奉公3カ月、合計6年3カ月が義務という置屋もあります。その期間は辞められないし、給料も出ません。
もちろん客からは高い金額が支払われています。そのお金は置屋に入って、舞妓には回ってこない」
あまりに過酷な時代錯誤なシステムに思える。
「時代錯誤と言えばそもそも舞妓姿はすごくストレスがかかるんですよ。白塗りに重たいかんざし。あれって地毛なんですよ。
ずっと高い枕で寝ないといけないし、洗えないからフケもすごく出る。いつの間にか虫が入り込んでることもあるし。引っ張られ続けるからハゲができてしまうこともあります」

舞妓姿で、さまざまな場所に行って、客の相手をする場合も多い……続く後編では、桐貴さんの舞妓時代について、より詳しく伺っていく。

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら