≪看護師の声なき悲鳴≫患者からの性的接触や暴力にさらされる医療現場の不都合な真実

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:Ushico/PIXTA)

筆者が膀胱がんの治療を受けている病院は東京でも有数の大病院で、世界の病院ランキング・日本トップ50にも登場する。その医療現場では1500人近い看護職員の皆さんが日々献身的に働き、患者や家族に寄り添ったサポートをしてくれている。患者にとって最も身近で頼りになる存在だ。そんな看護師さんたちとのやり取りなどを通じて、看護師という職業の実態に迫りたい。

「また来てくださいね」

何回目かの退院時に、たまたま病院の出口近くで出会った若い看護師さんが思わずこんな声掛けをしてくれた。はきはきとした女性で毎朝の体温測定、血圧測定から血液検査などを親身になってこなしてくれた看護師さんである。患者と看護師とのコミュニケーションもしっかり構築できていた。

退院していく患者に対して、普通は口にしない言葉である。「もっとお世話をしたい患者さんだ」との思いを抱いてくれたのだろう。それが当たり前のように出てきたのだ。「いい病院だな」と思わざるをえなかった。

看護師さんの笑顔に癒やされる

印象に残っている出来事はもう一つある。昨年10月末に膀胱の全摘出手術を受けた時のことだ。無事に手術を終えて集中治療室に1日滞在し、翌日に一般病棟に移った。ストレッチャーで運ばれ病室のベッドに移し替えられるまさにその時、ある看護師さんが「無事に終わってよかったですね。おかえりなさい」と満面の笑みで出迎えてくれたのだ。

本当に天使に思えた瞬間だった。食事も摂れず、全身いたるところから管が出ている不自由極まりない状況で、この笑顔と言葉にどれだけ癒やされたことか。生涯一の笑顔かもしれない。

さて、そんな看護師さんたちとの触れ合い、接点は入院時のほうが通院時よりも圧倒的に多く、濃い。入院時は通常2人1組で日々の担当が決まった。日勤は朝8時30分から17時10分、夜勤は16時20分から翌朝9時10分(仮眠あり)。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事