「進次郎劇場」に沸く《コメ政局》で"6月の勝者"になるのは誰か、コメ価格がいつまでにどの程度まで下がれば政界はどう動く?

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政界では、この発言が「今後の『コメ政局』の成否に石破政権の命運を懸ける戦略」(同)と受け止められている。

「コメの平均価格が実際に下がったかどうかがわかるのは6月中旬以降」(農水省担当者)とされ、今後の政治日程を見ると、「その場合、政界はすでに東京都議会選挙とこれに続く次期参院選という『政治決戦』の本番に突入している」(自民党長老)。それだけに、「コメ価格が適正水準に低下していれば、石破政権の大博打は成功」(政治ジャーナリスト)となる可能性もある。

不甲斐ない野党党首に橋下氏が喝

この「進次郎劇場」をめぐる中央政界でのハイライトとなったのが、5月28日の衆院農林水産委員会における野党党首らとの“直接対決”だった。就任したばかりの小泉農相に主要野党の党首らが論戦を挑むという「前代未聞の事態」(自民党長老)は、参院選をにらんで緊迫する国会会期末の展開を左右しかねない「コメ政局」の象徴とも映った。

「都会育ちのお坊ちゃんに、コメのことなんかわかるはずがない」(立憲民主党幹部)と意気込んで次々登壇した、立憲民主党の野田佳彦代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、日本維新の会の前原誠司・共同代表だったが、及び腰の追及ばかりが目立ち、小泉氏の突っ張りやいなしでかわす、したたかな戦法にしてやられた格好だ。

衆院農林水産委での「小泉 vs. 野田・玉木・前原」は合計約1時間半。党首級のトップバッターとなった野田氏は、小泉氏の「備蓄米2000円」発言について「バナナの叩き売りじゃないんで、適正価格か」と追及。小泉氏は「生産者にとって必ずしも適正価格ではない」としながらも、「(価格抑制で)消費者のコメ離れを防ぐのが目的」などと交わした。

2番手となった玉木氏は、コメの年間生産量について「40万トン不足している」と指摘し、「『増産』というメッセージを出すことがコメ価格高騰の解決策だ」などと主張。他委員会での質疑との関係でしんがりとなった前原氏は「維新が昨年夏の段階で備蓄米放出を主張したのに、政府が実際に放出したのは半年後で、しかも農協に丸投げだった」と江藤前農相の対応を批判し、コメ流通のあり方の抜本見直しの必要性を訴えた。

これらの質疑に対して、小泉氏は「流通の透明化、適正化に向けて何ができるかは今後の検討課題だ」などと受け流し、今後の追及につながるような発言は避けた。その一方で、攻める立場の3氏も「人気抜群の小泉氏へのあからさまな批判は、参院選での有権者の反発につながりかねないとの不安」(立憲民主党の若手議員)からか、農協改革に挑む小泉氏の対応を評価する発言も交えたことで、論戦の主導権は握れなかった。

こうした野党党首級の“不完全燃焼”を事前に予測していたのが、維新の“創業者”である橋下徹・元大阪市長だ。小泉氏の農相就任前に「なんで野党は(随意契約でやれと)チャレンジしなかったのか」と指摘。3党首それぞれの主張について「野党は文句ばっかり言ってる“あんぽんたん”だ」と厳しく批判した。

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