TOEIC「中国人の替え玉受験」日本で起きた背景 《学歴社会の中国》日本での大学院進学を狙ったか
中国人によるTOEICの不正が大きく報道されたのは、試験の認知度の高さにほかならない。外国人が試験で不正行為をして逮捕される事案は「日本語」の試験でも発生しており、日本語能力の試験結果は在留資格に関わってくるため、より重大だ。
今月21日、独立行政法人の国際交流基金が実施した「日本語基礎テスト」で替え玉受験したとして、ベトナム人2人が私電磁的記録不正作出などの疑いで逮捕された。
同テストの判定は「特定技能」の在留資格申請などに利用でき、報道によると技能実習生だった容疑者が、特定技能の資格を得るために替え玉受験に手を出したとみられる。組織的な犯罪の疑いがある。
同じく外国人の在留資格取得の要件として使われる日本語能力試験では、昨年12月実施分で、極めて不自然な同じ解答が集中したことが明らかになっている。産経新聞などによると中国で他国より早く試験が実施され、情報が漏れた疑いがある。
コロナ禍で日本に来られない外国人のために、オンライン面接が広がったが、筆者はある大学院の教授から、入学した留学生が替え玉受験した可能性があると相談を受けた。面接では日本語の質問に流暢に回答したのに、実際は日常会話もままならなかったという。
教員たちは替え玉受験を確信し何とか処分したいと考えていたが、面接を録画しておらず、証拠がないためうやむやになった。
替え玉受験は外国人だけの話ではない
外国人だけの話ではない。2022年には関西電力の社員(当時)が企業の採用試験で使われるウェブテストで替え玉受験をしたとして逮捕された。
試験開発を行うサーティファイがオンライン就職活動経験者を対象に昨年実施した調査では、45%が「何らかの不正をした」と回答した。
ウェブテストで生成AIを使ったり、グループチャットで集団で問題を解いたりという話は、筆者の周囲でも日本人、中国人を問わず見聞きする。
試験を受ける受験生や求職者の利便性が向上し、機会が増えるのはよいことだが、デバイスの進化や生成AIの登場などで不正のハードルは物理的にも心理的にも下がっている。試験の公平性や結果の妥当性をどう確保するかを改めて考える時期に来ているだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら