シラスが"獲り放題"になっている…魚が獲れないのを海のせいにする日本のヤバさ
2023年は幼魚の比率が高いという理由で漁期中に禁漁を実施しました。これにより、世界中の養殖用のフィッシュミール相場が一時的に高騰しました。養殖魚のコストの約6割は餌と言われており、ペルーでの漁期中の禁漁は、餌料の国際相場の高騰を招き、日本の養殖業にも影響を与えます。
資源量も漁獲量もほぼすべての魚種で減り続ける日本
一方で日本の場合は、資源管理に実際に効果があるカタクチイワシのTACが設定される前の段階であり、かつペルーのように幼魚を避けるどころかシラスを獲っています。しかもTACなしで。これではカタクチイワシの資源が持続的になるのは困難です。
ペルーではエルニーニョ現象というカタクチイワシの資源量を減らしてしまう自然現象があるものの、科学的根拠に基づくTACと個別割当制度、さらには幼魚の漁獲を避けることで資源を持続的にする努力がされています。
日本政府は2020年に施行された改正漁業法に基づきTAC魚種を増やす政策を進めています。北欧・北米・オセアニアなど漁業を成長産業にしている国々では科学的根拠に基づくTACでの資源管理は常識です。
しかしながら我が国では、資源量も漁獲量もほぼすべての魚種で減り続けており、地方が疲弊しています。手遅れになる前であれば世界の成功例という解決策があるのですが、資源管理への理解が不足しているためになかなか前に進んでいません。
必要なのは、資源管理への社会の理解です。魚が消えていく理由を、黒潮大蛇行、海水温上昇、外国が悪いといった、獲りすぎからの責任転嫁で誤解させられていることにいい加減気づかねばならないのです。
資源管理制度の不備で、このままでは漁業者の方は自分で自分の首を絞め続けてしまいます。そして水産物を利用する加工・流通などの様々な産業に悪影響を与え、消費者には価値が低い少量の魚が高値で供給されるという形になっていきます。誰にとってもよくない最悪の状態であり、これを早急に改善しなければならないのです。
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