アプリ側は最初に500ポイントを無料で「渡す」ことで、確実にお客をゲットできるわけだ。似たパターンが「割引クーポン」で、これまたもらった以上に使わないのは惜しくなる。しかも、必ず有効期限が設定されている。せっかく手元にあるのだから、それを生かそうと有効期限ぎりぎりに不要な消費をしてしまう羽目になる。
プレゼントをもらうのはうれしいが、受け取ってハイおしまいにはならないのがこの世の道理。必ずお返しが発生するのは、言うまでもない。
一度手にした特権は手放したくない
無料でプレゼントされるのは、ポイントやクーポンだけではない。よく遭遇するのが「入会月無料」「初年度無料」というフレーズ。これも、無料でトライアル期間を提供し、サービスを利用できる特権を「保有させる」ことが狙いだ。
少し前に、携帯キャリアが動画サイトやAmazonプライム会員のトライアル期間を無料で提供したことがあった。ではこの時期だけ……とサービスを利用し始めると、じわじわ「保有効果」に絡めとられていくことになる。
いったん便利な特典を経験してしまうと、それが当たり前になっていく。当たり前に使っている特権を失うことが惜しくなるのだ。結果、一定数の人は無料期間が終了した後も自己負担で有料会員を継続するだろう。
ステイタスをくすぐるアイテムも危険だ。クレジットカードのゴールドやプラチナを使っていた人が、年会費が高いからと無料カードに切り替えるかと言えば、多分しない。自分のクラスが上がっていくことは誰でも嬉しいもの、一度手にしたそれを手放すことは耐え難く感じるだろう。
現役を退いたビジネスパーソンが、カード払いの機会が減ったとしても、「ランク落ち」はなかなか選びにくい。ステイタスのあるカードを保有していること自体に価値を感じてしまうからだ。数万円の年会費がかかったとしても。
特権やステイタスを「今だけ特別に」「期間を区切って」与える手法は、その時期が終わった時にそれを失いたくない心理をくすぐることができる。継続してお金を使ってもらえるタネをまくことになるのだ。
ケータイなどに最初からセットされている「初月無料」サービスも、「ひと月は特典を使ってから解約しよう」と考えがちだが、目をつぶって即日解約したほうが無難だと言っておこう。
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