あなたの「ボーナス」は大丈夫?お金の判断をバグらせる「保有効果」の厄介さ 知れば差がつく!保有効果は「浪費」にも「節約」にもつながる

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「保有効果」とは?
一度所有したものに本来以上の価値を感じて手放せなくなる「保有効果」が、私たちの節約行動を邪魔している(写真:genzoh / PIXTA)

この世の苦しみのもとは、執着である――というのは仏教の教えだが、お金が貯まらない人にとってもこれは大いに悩ましい問題だ。

現代では言葉を変え、「保有効果」とも呼ばれる。一度所有した物に対して本来以上の価値を感じ、手放せなくなる心理を指し、行動経済学やマーケティング用語で使われている。この保有効果が、私たちの節約行動を邪魔してしまうのだ。

テレビ通販の番組で、「いつでも返品無料」というフレーズを聞くことがあるだろう。これも「保有効果」を利用したものと言われている。返品できることで購入ハードルを低くさせ、まずは消費者の手元に届ける。いったん実物を手にすると、手放すのが惜しくなる心理を狙った手法らしい。他にも、購入を決めた自分の判断を「失敗した」と思いたくない心理もありそうだ。

周囲を見渡すと、保有効果を利用したビジネス例はたくさん見つかる。そろそろボーナスシーズン、自分のお金の使い方を点検するためにも、保有効果のトラップを知っておこう。

「タダでもらったモノ」が逆に浪費のもとになる

1円も出していないのに手に入ったモノは厄介だ。「せっかくもらったのだから……」と、特別に価値を感じてしまう。モノだけではない。危ないのは「ポイントをプレゼントします」というキャンペーンだ。

ショッピングサイトのアプリをダウンロードしてアカウント登録すると、初回特典で500ポイントをプレゼントしてくれる、というパターン。一回限り受け取れるポイントを「保有した」消費者は、それをムダにすることはできない。そのまま失効させるなんてもってのほかだ。

たいていの人は、そのポイントを使おうとする。切りよく使い切れればいいが、たいていは使い残しのポイントが出るので、その消費のために新たな買い物をしてしまう。その買い物によって新たなポイントが付与されるので、それを使うために――の以下繰り返しだ。

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