「高齢者こそたんぱく質をとり、筋肉をつける必要がある」 医師が指摘する"筋力低下"の深刻な末路

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一方、「フレイル」とは、心身の活力が低下した状態です。

サルコペニアやロコモが身体的な要素だけに着目するのに対して、フレイルは認知症やうつ、孤立などの認知機能および、精神的・社会的要素も含み、要介護へと移行する中間段階にいる状態を指す言葉として、最近よく耳にするようになりましたね。

人は、自分の力で移動し、しっかり食事で栄養をとり、趣味やボランティア・就労などの社会参加ができているときに、心も体も健康を保てます。身体能力の低下からこのバランスをくずしてしまうと、フレイルに陥り、「外出したくないな」「人と会うのがおっくうだな」と感じ始め、心身がますます衰えてしまうのです。

また、最近の研究では、筋肉が分泌するマイオカイン、通称「若返りホルモン」という物質が脳の認知機能を向上させることもわかってきました。

一部のマイオカインは、記憶をつかさどる脳の「海馬」という部分の神経細胞を増やす可能性があるともいわれていますが、筋肉が衰えれば、当然マイオカインの分泌も減ってしまいます。

つまり「サルコペニア」の放置が「フレイル」につながり、さらに寝たきりや認知症にいたるということです。筋肉の衰えは、要介護への危険な第一歩なのです。

足のポンプ機能を回復し「冷え・むくみ」を解消

高齢の方に多い悩みとして、冷えやむくみがありますね。その理由で多いのも、筋肉の衰えです。

ふくらはぎの筋肉は、下半身の血流を心臓に押し戻すポンプの役割を担っていますが、筋肉が衰えると押し上げる力が弱まり、下半身の血流が滞ってしまいます。さらに、重力によって下半身に血液がたまると、血液中の余分な水分が血管外へもれ出し、むくみへとつながってしまうのです。

一見すると「太ったのかな?」と思いがちですが、膨らんでいる部分を指で押してみて、指を離してもその部分が数秒凹んだままだったら、それはむくんだ状態です。

むくみの放置は大変危険。血行が滞ると体の冷えにつながりますし、さらに放っておくと、足の静脈に水分がたまり、血管が拡張してこぶができる 「下肢静脈瘤」や、圧迫され続けた足がうっ血を起こすことで血栓ができる 「深部静脈血栓症」を引き起こしかねません。

もしいま、あなたの足がむくんでいるならば、ひとまずはよく歩いたり、ストレッチやマッサージをしたりして血行を促して、一時的なむくみを解消しましょう。そして次の段階として、少しずつ筋肉をつけて、むくみにくい体を作っていく必要があります。

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