80年代の「ジャパン・バッシング」を彷彿…再燃する「日米貿易摩擦」の"かつて来た道"と"いつか行く道"

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バイデン政権は環境保護を重視し、LNG(液化天然ガス)輸出許可を停止していましたが、トランプ政権は一転して輸出許可凍結を解除しました。このタイミングで、日本がアメリカ産LNGを購入する方針を示したのは、トランプ政権との関係強化を見すえた戦略的判断といえます。

2つ目は、対米投資1兆ドルという大規模な経済協力です。これは日本政府が企業の投資予定額を集計し、「これだけの規模で日本企業はアメリカ経済に貢献している」とアピールする狙いがありました。ディール好きなトランプの嗜好を踏まえた「お土産」として、日本側が入念に準備したとされています。

日本政府がトランプ政権との関係をスムーズにするために、対策を考えていることがうかがえます。しかし、こうした「顔色をうかがう外交」が長期的に日本の国益にかなうかどうかは、慎重に見極める必要があります。

自由貿易の旗は誰が掲げるのか

トランプは第一次政権時代、TPP(環太平洋経済連携協定)からの「永久離脱」を宣言しました。もともとアメリカが旗振り役となって推進していたTPPですが、国内の労働者保護を優先するとして、トランプは離脱を決断しました。

この決定により、TPPをめぐる国際構図は一変します。

アメリカ抜きで発足した「CPTPP(包括的・先進的TPP)」には日本が主導的に参加し、イギリスが2024年に加盟。さらには中国や台湾も加盟申請を行っています。

EUもトランプ関税の影響を受け、TPPとの連携に関心を示すなど、グローバル経済は新たな枠組みづくりを模索しています。

こうした中で、日本には「自由貿易の守護者」としての役割が求められています。自国第一主義が台頭する時代だからこそ、多国間の連携や国際ルールの維持・調整において、日本が中心的なポジションを築くチャンスでもあるのです。

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