80年代の「ジャパン・バッシング」を彷彿…再燃する「日米貿易摩擦」の"かつて来た道"と"いつか行く道"

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経済面だけでなく、安全保障においても日米関係は揺れています。トランプは第一次政権時から「日米安保は不公平だ」と繰り返し主張し、日本に対して防衛費の大幅増を求めてきました。

第二次政権でも同様の主張が続く中で、日本にはより自立的な安全保障体制の構築が求められています。

一方、バイデン政権下では、対中国を念頭に置いた日米の軍事連携が強化され、QUAD(クアッド)やAUKUS(オーカス)といった新たな枠組みも生まれました。しかし、トランプ政権のもとでは、アメリカが本当に「同盟国を守る意思があるのか」という根本的な問いが再び突きつけられています。

もはや当たり前ではなくなった「安全保障の柱」

池上彰と増田ユリヤのYouTube学園特別授業 ドナルド・トランプ全解説: 世界をかき回すトランプ氏が次に考えていること
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日本が安全保障の柱としてアメリカに頼る構図は、もはや当たり前ではなくなっています。中国の台頭や台湾情勢、朝鮮半島の不安定化など、地域情勢が緊迫化する中で、日本は外交・安全保障の再設計を迫られているのです。

戦後80年を迎えた日米関係は、これまでとは異なるステージに入りました。

アメリカが常に自由貿易と国際秩序のリーダーであり続ける保証はなく、日本は自立的な戦略を求められる時代に突入しています。

トランプの再登場は、日米関係の変化を加速させる契機となりました。一方で、これは日本にとっての「正念場」でもあります。

相互依存と協調のバランスをとりながら、自国の価値と利益をどう守り、どう発信していくのか。外交・安全保障・経済・エネルギーなど、多角的な視点から戦略的に動く必要があります。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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増田 ユリヤ ジャーナリスト

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ますだ ゆりや / Yuriya Masuda

1964年、神奈川県生まれ。27年にわたり、高校で世界史・日本史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのリポーターを務めた。テレビ朝日系列「大下容子ワイド!スクランブル」でコメンテーターとして活躍。著書に『揺れる移民大国フランス』『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』など多数ある。また池上彰氏との共著に『歴史と宗教がわかる!世界の歩き方』などがある。「池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」でもニュースや歴史をわかりやすく解説している。

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