80年代の「ジャパン・バッシング」を彷彿…再燃する「日米貿易摩擦」の"かつて来た道"と"いつか行く道"
かつてアメリカと日本は、自動車や半導体、農産物をめぐって「貿易摩擦」と呼ばれる激しい対立を経験しました。1980年代には、日本製の自動車がアメリカ市場を席巻し、アメリカの労働者たちが日本車を破壊する「ジャパン・バッシング」が象徴的に報じられたほどです。
このような歴史を思い出すと、現在の「相互関税」政策は、再び日本の輸出産業にとって深刻な障壁となりかねません。
とりわけ、自動車や電子機器といったアメリカ市場に依存する分野では、関税引き上げが価格競争力を奪い、日本経済全体にも影響を及ぼすおそれがあります。
トランプは、為替についても日本に批判的な姿勢を示しています。日本銀行が長期にわたって低金利政策を続けた結果、円安が進行しました。これについて、アメリカ側から「通貨操作ではないか」と批判されています。
為替をめぐる対立には、歴史的背景があります。
戦後、日米は1ドル=360円という固定相場制でした。1971年の「ニクソン・ショック」で金とドルの交換が停止され、やがて変動相場制へと移行します。その後、1985年の「プラザ合意」によって円は急激に上昇し、輸出に頼る日本企業は厳しい円高と戦うことになります。
現在は円安が進み、アメリカ側が「不公平だ」と声を上げている構図です。トランプ政権が為替市場に直接介入することは考えにくいものの、「円安是正」を名目に日本製品への追加関税や貿易交渉の圧力が強まる可能性は十分にあります。
為替は単なる経済指標ではなく、外交カードとして使われるリスクがあるのです。
資源と投資で「お土産」を用意
2025年2月に行われた石破・トランプ日米首脳会談では、2つの重要な議題が取り上げられました。
1つ目は、アメリカからの天然ガス購入です。トランプは大統領選中から「ドリル、ベイビー、ドリル」(掘って、掘って、掘りまくれ)と、エネルギー資源の積極採掘を最重要課題に掲げてきました。