「俺がルールだ!」 “感覚”で部下をねじ伏せる無能な上司の病理と対処法

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実は、この上司は社長の遠縁に当たり、大学中退後アメリカに留学したという話だが、実際にはただぶらぶらしていただけのようで、帰国してから就職口が見つからず困っていたときに、「英語が話せる」というだけの理由で雇ってもらったのだとか。

「グローバル化」を推し進めたい社長の一存でそれなりの役職に就いているものの、実務経験がほとんどないこともあって、業務を把握しておらず、きちんとした指導ができない。そのため、些末な指摘や揚げ足取りに終始するという。

合理的思考を妨げる羨望と嫉妬

このような状況では、上司が自分の地位を脅かされるのではないか、トップのポジションを奪われるのではないかという不安にさいなまれても不思議ではない。その胸中には、羨望と嫉妬が入り交じっているように見える。

羨望と嫉妬を混同している方がいるが、この2つは明確に区別すべきだ。

羨望とは、他人の幸福に我慢ならない怒りである。自分が喉から手が出るほどほしいと思いながら手に入れられないものを、他人が手にしているのを見たときに覚える怒りにほかならない。

一方、嫉妬は、自分が手にしている幸福を他人に奪われるのではないかという喪失不安である。嫉妬のほうがより陰湿な感情であり、キリキリと胸をさいなむ。

実務経験が長く、仕事ができて、人望もあるリーダーに上司が羨望を抱いていることは疑いない。同時に、リーダーにトップの座を奪われるのではないかという喪失不安、つまり嫉妬も強そうに見える。この2つがあいまって、「自分はここではトップなのだから、反論なんか許さない」と優位性を誇示する上司のマウントにつながっていると考えられる。

こうしたマウントの背景には、実力も実績もない上司のプライドを支えているのは、ここの部署でトップというポジションだけという事情があるように見える。それをリーダーに奪われるのではないかという喪失不安にさいなまれているからこそ、自分にとって脅威となりうるリーダーにことさら厳しく当たる。もしかしたら、そうすれば自身の存在感と影響力を誇示できると思い込んでいるのかもしれない。

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