「直流電動機の8000系や8500系と比べ、交流電動機で車両情報装置 (TIS) を搭載した5000系はメンテナンスにかける労力が減らせ、作業環境が大幅に改善しました。加速も制動もよく、停車寸前まで回生ブレーキが有効で電力を削減できるのでなるべく5000系を運用に出すようにしていました」(本村さん)
6ドア時代については「朝のラッシュ時間帯のどの列車を6ドア車で運用するのか決まっていました。座席も格納されているのを確認して出庫しないといけませんので、間違えないように気をつけていました」と思い出を語る。
車両部車両計画課の主事、小林亮一さんは「車両設計面でも東横線の5050系や目黒線の5080系、大井町線の6000系や池上線などの7000系のベースになっていて『東急の車両の基本』と言えるのが5000系です」と位置づける。
東横線に青ガエルよみがえる
5000系という車両形式は東急の歴史の中では2代目にあたる。初代の東急5000系は前面の2枚窓と下ぶくれの車体が特徴で「青ガエル」と親しまれた。
トップナンバーの5001号車は渋谷駅ハチ公口前で待ち合わせスポットとなっていたが、現在は秋田県大館市の観光施設「秋田犬の里」で余生を送る。東横線用の5000系には2017年、東横線開業90周年を記念した「青ガエルラッピング」が施された。

現在、田園都市線の最新の顔は省エネとバリアフリーをさらに進化させた「2020系」。2018年3月にデビューした。こちらも基本的な設計を共通化した6020系が大井町線、3020系が目黒線・東急新横浜線に投入された。
田園都市線の中では8500系と2020系という存在感ある「2つの顔」の世代に挟まれた5000系。標準車両の立ち位置のため派手さはないが、省エネやバリアフリーなどの面で通勤車両のトレンドを先取りした存在と言える。

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