午前中で1階部分の片付けが終わり、夕方にはすべてのゴミとモノが撤去され、家の中は空っぽになった。
新婚ということもあるだろう。見積もり時も作業時も、依頼主の女性に思い悩んでいるような様子はなかったが、片付けが終わるとさらに表情が明るくなった。
「こんなにゴミを散らかしてしまった私の責任なんですが、他人から見たらゴミでも自分にとっては思い入れのあるモノもあるじゃないですか。だから、1人で片付けをしようとしても絶対に無理だったと思うんです。もちろん費用は掛かりますけど、“綺麗なもの”をイーブイさんから買ったような気持ちです。いいものを買わせていただいたなと」(依頼主の女性)


「綺麗なものを買った」。この言葉に文直氏は考えさせられた。

「僕らはこれまで、ゴミ屋敷で悩む人たちの最後の受け皿のような存在でいたいと思っていました。でも、部屋を片付けられない人が無理して自分で部屋を片付けようとする必要もないと思うんです。家事をする時間がない人が家事代行を頼むように、もっと気軽に清掃業者に依頼すればいいし、お金で解決してもいい」
30袋のゴミの処理も10分で終わるかもしれない
現状、ゴミ屋敷清掃業者はゴミ屋敷の住人にとって「最終手段」のポジションにある。しかし、そこまで思い悩む前にもっと早い段階で業者に片付けてもらうのもおおいにアリだ。
「たとえば2カ月間かけて30袋のゴミを処分したとしても、僕らだったらたったの10分で終わる作業だと思うんです。片付けに悩んだり、頑張ったりしなければいけないという決まりはないんです」(文直氏)
依頼主の女性はそのマインドを持っていた。よって、夫に相談し、綺麗なものを買うことができた。そして、救われたのだ。


記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら