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政治・経済・投資 #ウクライナ侵攻、危機の本質

プーチンが設定した対アメリカ3つの政策に阻まれたトランプの休戦交渉、失敗に終わったその先は

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

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ウクライナ戦争停戦に向けた米ロ首脳会談が始まったが、それほどの成果は得られなかった(写真・Robert Perry/Getty Images)

4年目に入ったウクライナ侵攻で初めて休戦が実現するのか。全世界が注目したアメリカとロシア首脳による電話会談は、意外な結果に終わった。

完全停戦でもなければ、物別れでもなく、エネルギー関連施設に限って相互に攻撃を停止するという極めて限定的なものだった。なぜ、こういう合意になったのか。今後、停戦や和平に向けた動きはどうなるのか。

プーチンの巧みな戦略

今回の会談結果を分析してみると、その要因として、くっきり浮かび上がることがある。プーチンがこれまでの対トランプ外交で秘かに適用していると言われる「3つのルール」だ。

まず、➀交渉でトランプからの提案が受け入れられないものでも、交渉を決裂させない。その代わりにたいして意味のない限定的合意を達成して、トランプのメンツを潰さない、②アメリカ側が引き続き受け入れられない提案をしてきた場合、さまざまな条件をアメリカ側に突き付けて交渉を長引かせながら交渉自体は続ける、➂こうした交渉とは別に、本質的に重要な内容ではないが、プーチンとトランプの個人的信頼関係が特別であることを内外にアピールできる別の合意を発表する、というものだ。

つまり、対立があっても、トランプ氏との良好な関係を保つためのプーチン氏の巧みな戦略だ。

2時間半もの長時間の会談となった電話会談では、トランプの完全停戦提案に対し、プーチンはついに首を縦に振らなかった。この結果、会談の物別れを恐れたトランプがエネルギー関連施設に限った停戦を提案、プーチンが受け入れた。

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