「社員が全員、辞めてしまいました…」ひとり残された社長が学んだこと 「当たり前のことしかしてない部下に、感謝しないといけないんですか?」
以前、離職者が多いとご相談があった製造業の会社で、マネージャーの方に、部下に感謝を伝えることの大切さについてお話しすると、こんな質問をされました。
「やって当たり前のことしかしてない部下に、感謝しないといけないんですか?」
皆さんはこの質問に何と答えるでしょうか。
「部下はやって当たり前のことしかしていない」
この質問は、部下に感謝を伝えることを実践するうえで重要な意味を持ちます。
「そのもののありがたさは、失ってみて初めてわかる」という言葉があります。
健康のありがたさは健康なときにはわからないものですが、病気になるとそのありがたさは身に沁みてわかります。
普段は電気が使えてありがたいとは思わなくても、停電になると電気のありがたさを痛感します。
人はそれを失う経験をしないと、なかなかそのありがたさに気づけないものです。
独立して3年ほどで数名の部下を抱えるようになった経営者のW氏の話です。
営業がうまくいき、当初の予想以上に顧客が増え、さらなる売上拡大に向けて営業に奔走する中、現場を取りまとめているマネージャーからこう言われます。
「みんなもうパンパンで現場は回ってないって前から言ってますよね。なのにお構いなしで仕事取ってくるじゃないですか。ちょっとは現場のことも考えてください!」
売上拡大しか頭になかったW氏はその言葉に苛立ち、「そこは現場でどうにかしろよ!面倒くさいこと言ってくるな!」と言い返します。
するとマネージャーは黙って現場に戻り、数日後、数名の部下とともに退職を申し出てきました。その後、残りの部下も退職を申し出て、部下全員がいなくなりました。
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