「教科書は読めて当たり前」が子どもをダメにする 学校では教えない、学力を決める「シン読解力」

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また、営業成績もよく社内でも評価されているのに、管理職になってデスクワークが多くなったとたん、精彩を欠いてしまうという大人も少なからずいるようです。その原因も「シン読解力」にあるのかもしれません。

AI時代に必要なもの

日本は、世界的な各種学力調査(TIMSSやPISA)で上位に位置する、教育熱心な先進国です。一部の地域で「進化論」を教えないこともあるアメリカなどとは異なり、日本では、全国の子どもたちが文部科学省の定めた「学習指導要領」に沿って書かれた検定教科書を使って学びます。そのような日本においても、教科書を読み解くことにつまずく子どもが(大人も)、大勢います。戦後70年以上教育改革を続けてきてもそうなのです。いったいそれはなぜなのか。「シン読解力」をキーワードに、その謎を解き明かすことができると考えています。

「シン読解力」とは、才能や感性ではなく、トレーニングによって身につけることができるスキルである──。それは私の信念です。

「問題を解く」「知識として覚える」「やる気を出す」といったところで差がつく前に、「読めない」で差がついてしまうとしたら、これを放置していいはずがありません。

日本の子どもたち、そしてすべての日本人が「シン読解力」の存在を知り、習得することによって、AI時代にたくましく生きていかれることを心から願っています。

新井 紀子 国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・教授

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あらい のりこ / Noriko Arai

一般社団法人 教育のための科学研究所 代表理事・所長。
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院を経て、東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。
2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクターを務める。2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導。
主著に『数学は言葉』(東京図書)、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)、『AIに負けない子どもを育てる」(東洋経済新報社)などがある。

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