NHK→フジ転職のP「日本一の最低男」作ったワケ 香取慎吾に「有害な男性性」背負わせた意欲作の意図

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「『日本一の最低男』では、家族ドラマジャンルから社会派エンタメドラマに、1つの連続ドラマの中でジャンルが横断していくチャレンジをしています。第1話から8話まで『ニセモノ家族ドラマ』編、9話から11話は『選挙ドラマ』編を作ることは当初から決めていました。

選挙ドラマはいわゆる政治ドラマ色が強く、自分の得意分野ですし、いまの政治や社会状況を反映させたエッジの効いた台本ができました。最後3本の選挙ドラマ編だけ見てもらっても楽しめると思います。また、『日本一の最低男』というタイトルの意味も、最後まで見ていただければ、おわかりいただけるように作っています」

元テレビ局の敏腕報道マン・大森一平(香取慎吾)はフリーのジャーナリストとして活動するも、ほぼ無職状態で、政治家としてやり直すことを考える。選挙に当選するために好感度アップを目指し、シングルファーザーの義弟・小原正助(志尊淳)とその子どもたちを利用して「ニセモノの家族」を演じはじめるが、共同生活で出会ったさまざまな人たちの日々の生活に触れて、心境が変化していく。やがて、街に再開発計画が立ち上がり、一平の家も立ち退き候補にあがる。一平は誰かの我慢によって成り立つ世の中に疑問を感じ、みんなの生活をよくするために選挙戦を勝ち抜こうと知恵を絞る

――“ニセ家族”によるホームドラマパートと選挙戦をめぐる政治ドラマパートという2つのモチーフで進みつつ、終盤からガラリと雰囲気を変えようと考えた意図を教えてください。

「日常の問題はすべて政治につながっていて、個人で解決するには限界があると考えていたからです。令和の時代に家族ドラマを作る際、個人や家族の絆だけで解決していい問題ではないなと。そこから発想して、ニセモノ家族×選挙ドラマというジャンルの掛け算をしようと考えました。

さらに言うと、地上波民放ドラマで求められているものはエンタメ作品なので、入り口は間口を広げてキャラクターを愛していただいたうえで、終盤に選挙ドラマを深く描くことで、小難しいドラマだと思われることなく、スムーズに選挙編を見ていただけるかなと思って、こういう形にしました」

香取慎吾さんありきの企画だった

――社会や政治の問題を描いたドラマをやりたかったと。

「子育ての問題を1つとってみても、今の時代、地域や家族の絆だけで解決していけるはずがなく、解決していいわけもなく、政治的な解決が必要だと伝えることは『日本一の最低男』のメインテーマの1つでした。そのために、国民的スターである香取慎吾さんで“ニセモノ家族ドラマ”という入り口から入りました」

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