上昇する金価格がどこかで止まる懸念はないのか 最高値更新の可能性の一方で一時的に暴落も?

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確かに、関税でインフレ圧力が高まり、ほかならぬアメリカ経済に悪影響を及ぼす可能性は高そうだ。だが、発動されるのであれば、大きく影響を受ける業種や個別企業などもある程度絞り込むことができる。投資家もそれなりの対策を取ることができるだろう。

ただ、実際に賦課するのかしないのか、するとしても今すぐなのか、あるいは4月以降なのかなどと、先行きが極めて不透明な中では、影響が予想される分野への投資には消極的にならざるをえない。

金価格上昇の原動力はあくまで「不透明感」

もちろん、機関投資家の立場としては投資を一切行わず、すべてを現金のままにしておくわけにもいかない。だからといって、闇雲に資金を自動的に分散投資するわけにもいかない。結局、こういうときには「安全資産だから」という理由で、金に投資するしかないのだろう。今のような状況が続くなら、金価格がいよいよ3000ドルの大台を突破、さらに値を切り上げる展開となることも十分にありうる。

では、相場の上昇が止まる局面はあるのだろうか。少なくとも2つのシナリオがありそうだ。まず1つ目は、トランプ関税がすべて発動され、その後の個別案件の適用除外などの修正にも決着がつき、当面は状況に大きな変化は生じないとの見方が強まったときだろう。

今の金への需要は決して状況がどんどん悪化しているから強くなっているのでは決してない。あくまでも「この先どうなっていくのかがまったくわからない」という、不透明感の高さが需要を作り出しているのだ。

それだけに、不透明感が払拭されれば、その後は当面買いの勢いが衰える可能性が高いと考えておいたほうがよい。トランプ大統領が得意とする相手国とのディール(取引)の結果次第、ということになるが、ほとんどの交渉が不調に終わり、最終的に深刻な関税戦争に突入するのか、逆に交渉がまとまり、結果的に最低限の関税の賦課だけにとどまるのかは、意外に大きな問題ではないのかもしれない。どのような内容であれ、結果が見えるということが重要なのである。

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