スタバ「紅茶専門店」に見るカフェ業界の"変容" コーヒーだけで拡大はもう難しい時代に…?

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また昨今、都心ではカフェ不足が盛んに叫ばれ、「カフェ難民」になる人も多く存在する。そんな状況下で、もし紅茶専門店が成功すれば、通常のスタバとカニバリを生まずに、店舗を一気に増やせる可能性がある。

一方、国外に目を向けると、世界的に抹茶の人気が高まっている。農林水産省によると、この10年間でお茶の輸出量は約2.5倍に増加。2024年の輸出額は過去最高の約363億円だ。外国でお茶の受容が進んでいる。

特に日本らしさを感じさせる「抹茶」は、お土産として日本で購入するインバウンド観光客も多い。抹茶で有名な宇治には多くのインバウンド観光客が押し寄せ、「宇治茶の爆買い」も進んでいるという。

「ティバーナストア」でも、石臼で挽いた抹茶メニューを一押しにしていることは述べた通り。

この辺りのインバウンドの抹茶人気については、ティバーナストアを扱った大関まなみ氏の『スタバが始動「抹茶ガチ店」1000円超え商品の実力』で丁寧に説明されているので、参照して欲しい。

国内市場が飽和する中、内需が限界なら外需に頼るのが一つの戦略。インバウンド観光客自体が顕著に増加していることもあって、そんなインバウンドに人気の抹茶をメインに据えることもできる「ティー業態」は追い風といえるのだ。

非コーヒーカフェチェーンが広がっている!

スタバの新店舗は国内外の事情が反映された業態だが、こうしたスタバの進出を競合各社が黙って見ているわけではない。

今書いたような理由もあるのか、特にここ数年で「非コーヒーカフェチェーン」の出店に加速がかかっている。

例えばタリーズ。同社では2017年から紅茶専門業態である「タリーズコーヒー&TEA」の出店を開始し、現在は34店舗になっている(3月6日現在)。特にスイーツの売り上げ比率が高く、客単価の増加につながるという。2022年の「新語・流行語大賞」に「ヌン活」(アフタヌーンティー活動)がランクインしたが、少し手軽な値段で紅茶とスイーツを楽しめる「ライトヌン活」的な需要があるのかもしれない。

タリーズコーヒー&TEA
高級感のある店舗外観(筆者撮影)

まさに飽和する市場の中で成長を拡大する一因として「お茶」を据えているのだ。

さらに、国内カフェ店舗数第3位のコメダ珈琲店は、この2月に和風喫茶「おかげ庵」を新宿に出店した。元々は1990年代に誕生した業態だが、この出店を皮切りに全国への本格展開をはじめる。

おかげ庵
2月、新宿に出店したおかげ庵。和風な佇まいが特徴だ(筆者撮影)
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