いまだに誤解をしている人が多いですか、1人以上産んだ母親が出産する子どもの数は減ってはいません。第1子を生んだ母親のうち約8割近くが第2子を産みます。これは1995年頃からまったく変わっていません。さらに、第2子を産んだ母親が第3子以上を産む割合も、2023年で46%であり、これは第2次ベビーブーム期の1970年の40%を上回っています。
つまり、1人の母親が産む子どもの総数が減っているのではなく、そもそも結婚して第1子を産む数が減っているからこその出生減なのです。私が「少子化ではなく少母化」と繰り返しお伝えしているのはそのことです(参照→少子化議論なぜか欠ける「婚姻減・少母化」の視点)
よくよく考えれば当たり前の話で、第1子が産まれるからこそ第2子、第3子が産まれるのであって、第1子が産まれなければその先はないということです。しかも、この「第1子が産まれない」問題を年齢別統計と組み合わせると、20代での第1子が減っていることこそが出生減の大部分を占めることがわかります。

「もう1人産みましょう」にあまり効果はない
結論として、年齢別と出生順位別の出生推移からわかることは、「出生減は、20代での第1子が産まれないことによる」と言えます。別の言い方をすれば、すでに子のいる夫婦に対して、「もう1人産みましょう」と言ったところであまり効果はなく、30代以上での第1子が増えても、そこに対して次の子を過度に期待するのも物理的に無理があります。冒頭で紹介したとおり、日中韓仏の年齢別出生率でも30代以上は30年間変わっていないわけですから。
何より韓国の状況を他山の石としてとらえるならば、これ以上20代での第1子出生率が減り続けることは、やがて日本も韓国と同じ道を進むことを意味します。
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