「2次試験の面接まで行けば受かるという雰囲気もあったので、これは僕にとってかなりショッキングな出来事でした。これまで正直、ほどほどに勉強すればなんとかなっていましたが、やはり医学部受験はそんなに楽で甘いものではないと身をもって思い知らされましたね。
それまでの2カ月は面接・小論文の対策以外は英語しかやっていなかったので、12月からまた、ゼロからスタートすることになり、浪人は避けられないと感じました」
この年はセンター試験を受験せずに私立大学医学部の一般入試を7校受けたものの、どこも「問題を見た瞬間に無理だと思った」という感想が物語るように、すべて1次試験で不合格でした。
医学部以外の選択肢はなかった
これで浪人を決意した彼は、東京にあった個別の医学部専門予備校に入ります。
浪人しようと思った理由については、「自分の中で医学部以外の選択肢がなかった」と語ってくれました。
数学が苦手だった彼は、数学の専門家の多さを売りにしていた予備校を選び、苦手分野を理屈から学ぼうとしていました。しかし、結果としてこの予備校は合っていなかったようです。
「化学は毎週テストで暗記した内容を言わされていたので、暗記を定着させる方法を学ぶことができました。今でも医学部の勉強で、この『単語をただ覚えるのではなく、連想ゲームのように数珠つなぎに知識をつなげて、ほかの単語もまとめて覚える』という考え方が役立っています。
一方で、数学は『大学で習う数学を、高校数学に落とし込むことで理解を楽にする』という方針でした。でも、僕は中学の知識すらままならない状態だったので、大学の知識を使えるようなレベルにないんですね。『わかるまで考えなさい』というスタンスの塾だったので、5時間同じ問題を考えて解かされたこともあったのですが、間違いなくやり方が合っていなかったと思います」
入塾時のテストの偏差値が40だった彼は、ここで1年間、毎日朝から夜まで14時間程度勉強したものの、全体的な偏差値もあまり伸びませんでした。
結果、この年も私大医学部を7~8校受けた彼は、すべて1次試験で不合格になり、2浪目が確定しました。
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