スシロー「デジローで好調」に見る回転ずしの変容 回らないように変化してもワクワク感は増している

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くら寿司の2024年10月期決算資料でも、日本での新規出店は9店舗なのに対し、アメリカ・アジアを合わせた海外出店は19店舗である。

2024年10月期振り返り
次第に海外店舗を増やしているくら寿司。国内が中心ではあるものの、無視できないボリューム感になってきた(出所:くら寿司の決算説明会資料より)

スシローはより顕著だ。運営会社であるFOOD & LIFE COMPANIESの2024年9月期決算資料では、国内の新規出店数は5店舗であるのに対し、海外出店は42店舗も増加している。

店数
スシローは今や、海外のほうが新店が多い(出所:スシローの決算説明会資料より)

まとめると、運営コストを低下させたり、魅力的な商品や店舗空間で客単価・客のリピート率を上げたり……といったことが、これまで以上に必要になっているといえるだろう。

こうした状況に対応したのが、デジローだということができる。「ワクワク感」を高めて客単価を上げつつ、コストカットもできる。まさに回転ずし業界の変化をよく表しているといえるのだ。

回転ずしの「ワクワク感」を高める各社の戦略

興味深いのはこうした状況の中、スシロー以外の大衆的な回転ずし店も好調なことだ。

くら寿司の2024年10月期決算の営業利益は、前年比132%増の56億9900万円。売上高は過去最高である2349億円を記録している。

連結業績ハイライト
売上高が過去最高を記録、利益面もしっかり伸びてきていることがわかる(出所:くら寿司の決算説明会資料より)

また、すき家などで知られるゼンショーホールディングスが運営する「はま寿司」の2025年3月期第3四半期連結累計期間の売上高は1801億円(前年同期比25.9%増)、営業利益は144億円(同96.2%増)と、こちらも絶好調である。

市場が飽和しているなか、各社が市場の拡大を進めているのだ。ということは、これまで回転ずしに来ていなかった層を顧客として持ってきたり、あるいは既存客のリピート率・客単価を上昇させることに成功している、ということであろう。

大前提として3社とも、インフレ時代においてかなり安価で商品を提供していることは強い訴求力になっていることは間違いない。

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