DeepSeekの新カリスマ「梁文锋」知られざる正体 中国在住・北京大学MBA生の考察(後編)

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一方、中国のAI産業が直面する核心的な問題として、「中国のオリジナリティの欠如」も指摘しています。

「私たちのコアな技術ポジションは、基本的に新卒者や卒業して1~2年以内の人たちで構成されている」
「私たちの採用条件は情熱だ。情熱がある人たちは、心から未知の分野を探求し、自然と集中して仕事に取り組むことができる」


 採用やマネジメントに関しては、「経験」よりも「能力」、「能力」よりも「情熱」を重視し、スタートアップの経営者らしい一面を持っています。

「私たちが目指しているのはAGIであり、たんなるアプリケーションやクラウドサービスではない」
「中国のAIが永遠に追随者でありつづけることはあり得ない……中国が技術の最前線に立つことは不可避だ」


 DeepSeekの目標が「短期的な商業利用」ではなく「汎用人工知能(AGI)」であることを強調しています。

また、中国のAI産業が模倣からオリジナルの革新へと移行する必要があることとともに、中国がこのAI領域のリーダーシップをとっていくことにも意欲的です。

ほかの起業家との違い

中国でも百度、テンセント、アリババなどのビッグテックがしのぎを削って生成AI開発をしていたにもかかわらず、最も革新的なAIサービスを開発したのは、DeepSeekという小さなスタートアップ企業でした。

その企業のトップである梁文锋氏の思想にこのように触れていくと、ほかの起業家との違いを改めて感じられます。

また梁文锋氏が海外でもなく、上海や深センなどの一級都市でもなく、杭州という準一級都市で会社を創業していることが、何よりも彼の思想を表しているように思います。

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