そんな欧米メーカーの牙城に、中国メーカーが近年続々と進出している。中でも躍進ぶりが目立つのが、中国のEV・PHV大手のBYD(比亜迪)だ。同社はブラジル市場で2024年に約7万7000台を販売し、3.1%の市場シェアを獲得。2025年1月の月間販売ランキングでは第9位に食い込み、初のトップ10入りを果たした。

だが、現地ではここにきて中国製EVへの逆風が強まっている。ブラジル政府は2023年11月、EVの普及促進のために実施していた輸入関税の免除措置の段階的廃止を決定。課税再開は2024年1月に始まり、2026年7月までに関税率を(エンジン車と同等の)35%に引き上げる予定だ。
(訳注:ブラジル政府がEVの関税免除を撤廃した背景には、中国製EVの輸入急増に対して自国の自動車業界の不満が高まったことがある)
BYDに反ダンピング調査も
それだけではない。現地メディアの1月下旬の報道によれば、ブラジル全国自動車製造者協会は中国メーカーが不当な安売り攻勢をかけていると主張し、ブラジル政府に反ダンピング調査の実施を要請した。

調査の主要ターゲットはほかならぬBYDだ。同協会によれば、2024年7月にEVの輸入関税が一段階引き上げられる直前、中国メーカーが駆け込み輸出したEVがブラジルの港に大量に滞留。その多くがBYD製だったという。
ブラジルの自動車業界は、EV輸入関税の35%への引き上げを2025年に前倒しするよう、同国政府に求めている。吉利控股集団がルノーと提携したのは、こうした市場環境の変化を受け、ブラジルでの現地生産の立ち上げを急ぐ狙いがあるとみられる。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2月18日
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