学校推薦型だけの選抜にしてしまうと、高校に通わず「高等学校卒業程度認定試験」によって大学入学資格を得る人や社会人、過年度卒業生(浪人生)などは受験できなくなってしまう。「ユニバーサル段階」にある大学は、広く万人に開かれたものなのだから、他の審査方法を用意しておく必要がある。
求められるのは「学ぶ姿勢」
それに、大学は、高校新卒者を対象とした教育機関から、生涯学習の場としてもこれまで以上に活用されるべきだろう。「リスキリング」などと政府が号令をかけなくても、生涯にわたって学び続ける風土を築きたい。そのためにも働きながら学べるように「働き方改革」によって十分な余白時間を確保できるような社会になることを期待したい。
全入化した大学とはいえ、大学教育は高校までの学校教育とは異なる。学校教育では、与えられた目標や方法に準じて学習する。一方、大学では、自ら学ぶ目的やテーマを設定して学習する。つまり、大学ではより主体性を求められるのだ。
よって、「大学教育にふさわしい準備」とは、大学で主体的に学ぶ姿勢であり、全入化した大学であっても学生には学ぶ姿勢が求められる。しかし、主体的に学ぶかどうかは学生の問題であり、全入化した大学では、それができるという受験生の申し出には入学を許可してもいいのではないだろうか。
受験生の申し出だけではダメだというのであれば、高校に限らず、身近で受験生本人をよく知る人からの推薦が得られればいいのではないか。全入化している大学でわざわざ大学が「意欲」を審査する必要はないだろう。これがこれからの全入化した大学の選抜試験になるのだろう。
こうしたことを、前々回で言及した「東洋大学問題」をきっかけに、今後、大学と高校が協議をして、文科省の調整の下、2027年度以降の「大学入学者選抜実施要項」を策定してもらいたい。
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