「目のマッサージ」「眼筋ほぐし」は効果があるのか 「目薬」の効果の多くも感覚的なものにすぎない

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30歳からしばらく虎の門病院で臨床医に専念したのち、少年時代を過ごしたアメリカへ。大学で研究生活を送ったあと、36歳のときにシアトルで眼科領域の治療に関する研究開発を行うベンチャーを起業したのだそうだ。

以後は眼科領域で創薬と医療技術の研究開発をしているようだが、つまり本書はそうしたバックグラウンドに基づいて書かれているのである。

ちなみに興味深いのは、「日本の常識は世界の非常識?」というトピックスが大きく取り上げられている点だ。私たちにとっての常識も、世界的に見れば非常識であるということも少なくないようなのだ。

「目薬」の効果の多くは感覚的なものにすぎない

日本で目薬のニーズが大きいことは、上記のドラッグストアの品揃えにも明らかだ。注すと清涼感があって目がスッキリするため人気があるのだろうが、これは「シャワーを浴びたら気持ちいい」というのと変わりはないのだという。つまり、あくまでも感覚的なものだということだ。

目にとって一番いいのは目薬ではなく、自分自身の涙です。タンパク質だけでも1500種類程度含まれているといわれていますし、ほかにも脂質やムチン、ホルモン、電解質などさまざまな重要な成分が入っています。目薬を注すことで、それが薄まってしまうとしたら、本末転倒ではないかというのが私の考えです。(201ページより)

つまりは特別な病気がないかぎり、自分の体が生理的に出しているものがもっとも自分の体に合っているということ。気づきにくいことかもしれないが、改めて考えてみれば当然すぎる話である。

ただしその一方、すでに目薬を注す習慣が定着している人が多いことも事実だろう。爽快感がクセになっているのかもしれないし、「目薬を注さないと、なんとなく気が済まなくなってしまったから続けている」という方もいらっしゃるに違いない。

もちろん本人が心地よさを感じているのであれば、それを否定する必要もない。ただし、多くはエモーショナルな効果、プラセボ効果(効果のない薬を飲んでも効果が出てしまう現象)しかないことは知っておく必要があるというのだ。

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