フジ「CMストップ大打撃」、親会社の利益ほぼ半減 「中居問題」で広告収入が200億円超も吹き飛ぶ

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とはいえ、ある信用調査会社の幹部は、「フジ・メディアHDに確認したところ資金は潤沢にあり、資金繰りに問題はないとの回答だった。倒産といった事態は想定していない」という。

そもそもフジテレビ単体は厳しい状況だった。しかしフジ・メディアHDは、フジテレビを中核とする「メディア・コンテンツ事業」のほかに、サンケイビルなどの不動産事業、ホテル事業、神戸須磨シーワールドなどの観光事業を展開している。こうした「都市開発・観光事業」は絶好調なうえ、全社営業利益の過半を占める。

そのため、フジテレビの事業が大きなダメージを受けても、放送外事業でカバーすることができるポートフォリオになっている。すぐさまフジ・メディアHDの経営が危ぶまれるということはない。

フジ・メディア・ホールディングスの利益構造

「3月末以降はCM再開」となるのか

しかし、「影響はこれだけでは収まらないだろう」(キー局幹部)との見方がもっぱらだ。

というのもスポンサー企業の多くは、「少なくても3月末に予定されている第三者委員会の調査結果を見てから判断する」としている。3月末までの広告復活はあり得ない。

さらに「調査結果が曖昧だったり、フジテレビが明確な信用を取り戻す施策を打ち出すことができなかったりした場合には、さらに長期間CMがストップしてしまう事態も十分ありうる」(同)。そうなった場合、来期2026年3月期決算は大幅な赤字に陥る可能性が濃厚だ。

フジテレビの系列局も経営に大きなダメージを受けることは確実だ。1月31日配信の『フジ系列は何位?テレビ局「営業利益」ランキング』のデータでもわかるように、大半のテレビ局の台所事情はそもそも苦しい。

信用を培うのには長い時間を要するが失うのは一瞬だ。

「『週刊文春』が女性トラブルへの社員の関与について記事を一部訂正したが、フジ・メディアHDがコンプライアンス面やガバナンス面で問題を抱えていることには変わりはない。信用を取り戻すまでの間、フジテレビの再建は厳しいと言わざるをえない」。業界からはそんな声が聞かれる。

田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売予定。

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