中華製AI「DeepSeek」はNVIDIAを駆逐するか 無料で性能はChatGPTにほぼ引けを取らない

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これほど高度の技術力を誇るDeepSeekとはいったいどんな会社なのか?

創業したのは、中国のクォンツ・ヘッジファンド「High-Flyer Quant」の創業者でもある梁文峰(リャン・ウェンフェン)氏だ。彼はヘッジファンドの資金運用を高速・高精度に行う投資AI技術を開発するため、2023年にHigh-Flyer Quant傘下の研究機関としてDeepSeekを設立した。

かつて中国浙江省の名門、浙江大学でコンピュータ科学を専攻した梁氏はDeepSeekの設立に際して、北京大学、精華大学、北京航空工科大学など中国のエリート校からコンピュータ科学等の博士号取得者を次々と採用し、生成AIのベースとなる大規模言語モデル(LLM)の開発に当たらせた。

中国国内でAI技術力を養う

これらの博士研究者らは、(前出の)中国国内の大学で高度なAI技術力を養った。

DeepSeekに採用された彼らは当初から、LLMの開発に必要な部品を十分に入手できないなど苦難の道を強いられた。が、こうしたハードウエアの不足が結果的に高度なソフトウエアの技術力を育むことにつながった。

アメリカのバイデン前政権の中国に対する輸出規制により、DeepSeekのような中国企業は(OpenAIなどアメリカ企業が機械学習に使っている)エヌビディア製GPU「H100」など最先端の半導体チップを使うことができない。

その代わりにDeepSeekは(中国への禁輸措置を免れた)「H800」と呼ばれるGPUを多数輸入して、LLMの機械学習に投入した。H800はH100など最先端商品の性能をあえて大幅にダウンさせた、言わば「格落ち製品」である(ちなみに現在では、このH800さえ中国への輸出が禁止されている)。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事