フジテレビ「CM枯渇の懸念」に系列局で募る危機感 「10時間超え記者会見」の先も続く異常事態
午後4時から始まった記者会見は日をまたぎ、実に10時間半あまりに及んだ。
元タレントの中居正広氏が女性とトラブルになった問題で、フジテレビジョンは1月27日に会見を開いた。
冒頭、フジテレビの嘉納修治会長は、「人権に対する意識の不足から、十分なケアができなかった当事者の女性に対し、心からお詫びを申し上げたい」と謝罪。日本弁護士連合会のガイドラインに準拠した第三者委員会を設置し、事実関係や事後対応などについて調査・検証を依頼したことを明らかにした。
そのうえで視聴者やスポンサー企業に多大な心配と迷惑をかけた責任を取って自身と港浩一社長が同日付けで辞任、親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)の清水賢治専務がフジテレビの社長を兼務すると発表した。
メディアの信頼性を揺るがした
フジテレビは1月17日にも会見を開いたが、テレビカメラを入れないなど制限を設けて行った。
27日の会見で港社長が「カメラから逃げたと言われても仕方がない。メディアの信頼性を揺るがしたことを痛感している」と述べたように同社への批判を自ら招く。テレビCMをACジャパンの公共広告に差し替える企業が相次いだことで、やり直しの会見に追い込まれた。
27日の会見では、①トラブルの内容と事実を知った後の対応について、②フジテレビ幹部社員の関与について、③1回目の記者会見について、そして④経営陣の経営責任について質問が集中した。
これに対し港社長らは、女性のプライバシーに配慮するとし、詳細は第三者委員会の調査に委ねるという答えに終始。また長年にわたってグループに絶大な影響を及ぼしているとされる日枝久取締役相談役の去就についても、「判断は本人がすること」と歯切れの悪い回答を繰り返した。
そのため記者からの質問は尽きず、ロングランの記者会見になったわけだ。
こうした会見の内容に対し、スポンサーからは「事実関係がよくわからなかった。第三者委員会の調査結果を待って判断する」「日枝さん以下、経営陣を総入れ替えしなければ、新しい船出とはならないだろう」といった厳しい声が聞かれる。
フジテレビによれば、第三者委員会は3月をメドに調査結果を発表する。しかし、それを悠長に待ってはいられないだろう。スポンサーが雪崩を打ってCMを差し止めているからだ。会見前日に放送された「ワイドナショー」や「サザエさん」の番組中に流れたCMの8割はACジャパンの公共広告だった。