「後席シートは、折りたためるなど機能性を犠牲にしないようにしつつ、座面のクッションも厚くするなど快適性を追求しました」とは、シート開発担当者の言葉だ。実際、身長175cmの私が十分、快適に座っていられる空間だった。
後輪のホイールハウスの出っ張りが少ないのも、広さ感によい影響を与えているし、3ドアモデルでは鉄板むきだしだった内張りが、ちゃんと合成樹脂で覆われていて、乗用車感覚で乗っていられる。
「快適な居住性を追求しましたが、ジムニーが本来持つオフロード性能は守っています」と、先の担当者は付け加えた。
「上級でなく上質をめざしました」
ボディを延長すると、そのままでは車体の強度や剛性が落ちる。そこでスズキのエンジニアは、シャシーの角断面フレームの一部を設計し直した。強度を高めるため、内部に補強を入れたという。
より強度が必要だと判断した箇所には、クロスメンバーを設けている。長くなったプロペラシャフトも、長さと直径ともに見直された。オートマチック変速機のケースも、強度を上げているという。
フロントサスペンションは、コイルバネの定数を調整するとともにダンパーの減衰特性を最適化し、さらにスタビライザー径も拡大。フロントブレーキは、ベンチレーテッドタイプが採用されている。
はたして、走破性能をジムニー シエラと比較すると、36度のアプローチアングルと47度のデパーチャーアングルは同一。ホイールベースが延長された分、ランプブレークオーバーアングルだけは、シエラの28度に対してノマドは25度とちょっと劣る。
荷室が前後に350mm延び、積載容量が332リッター確保された一方で、走破性能がジムニー シエラとほぼ同一というのは、エンジニアの努力だろう。
「上級でなく上質をめざしました」というのは、前出のスズキ商品企画本部、佐々木貴光チーフエンジニア。
単なる5ドア・ロングボディではなく、快適性も追求されたジムニー ノマド。2025年4月3日だという発売を楽しみに待つ人も、多いだろう。
なお価格は、ジムニー シエラ「JC」から60万円弱のアップで、5速マニュアルが265万1000円、4速オートマチックが275万円となる。
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