「まどか26歳」9時5時勤務の研修医が見た"葛藤" 「労働時間が短い=良い」は思い込みなのか
ドラマの中でも、先輩医師たちは「研修医は定時で帰るように」と帰宅を積極的に促している(ただしこれにはハラスメント対策など他の意味も多く含まれている)。
多忙を極める医療現場で、実際にこのような対応をどこまで実施できるのかは不明だ。しかし過去の慣習を変えていくことが困難なことは、容易に想像がつく。
そんな時代に際して医療現場の変化を取り上げ、原作の味つけをそこなわないよう現代の医師たちの葛藤を映し出したこと。そこに、2025年に本作がドラマ化された意味を感じるのだ。
令和にフィットした努力とは?
働き方の変化。それに伴う葛藤を感じているのは、なにも医療現場に限ったことではない。
『SPY×FAMILY』『ダンダダン』など数々の大ヒットマンガの編集者として知られる林士平氏は、糸井重里氏との対談の中で現代の働き方に触れながら苦悩を吐露した。
後輩編集者から「どうすればいい仕事ができるか」と尋ねられた林氏。「没入しないと本物のプロにはなれない」と思いながらも、「自分は寝る時間以外全部仕事してた、と伝えたいが社会的にできない。強要させられない」と語ったのだ(YouTubeチャンネル「ほぼ日の學校」より)。
働き方や求められる空気が変わり、過去のものさしが通用しなくなっている現代。過去のやり方を強制できない時代で、後輩たちにどんな道をしめすことができるのか。この葛藤は「まどか26歳、研修医やってます!」で映し出された問題とリンクする。
「昔はこうだった」「俺たちの時代では考えられない」
そう言われても、過去と同じ土俵にいない若手にとってはつらい。日々の限られた時間の中でどれだけ自己研鑽を行えるのか。便利になった世の中を利用して、自分の肥やしとできるのか。
ドラマの続きでは、そんな疑問へのアンサーともいえるエピソードが登場する。
モーレツに働けない時代に必要な努力の方向。今後も、まどかたちの2年間を通してその片鱗がのぞけることを期待したい。
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