日本の行政は「生成AI」の活用が遅れているのか 避けられない労働人口の減少を切り抜ける唯一の鍵

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森参事官
森参事官は元農水省で、農業経済に詳しい。現在はデジタル庁で、AI施策などさまざまな分野に関わる(筆者撮影)

2023年5月に総務省自治行政局デジタル基盤推進室から「ChatGPT 等の生成AIの業務利用に関する申合せ」が出て、当初は個人情報をはじめとした非公開情報を入力してはならないということは当然とし、要機密情報を含まない場合でも、利用にあたっては組織の規定にのっとり、承認を得る手続きが必要とされた。

その後、9月の時点で第2版として改定され、要機密情報を含まない情報の場合の承認は不要となった。

また、要機密情報を含む情報であっても約款型クラウドサービスではなく(利用データを域外に出さない)、個別契約などに基づく生成AI利用で所定の条件を満たし、十分な安全性が確保されている場合には要機密情報の取り扱いも可能になった。

ユースケースを探るための実証実験

「2023年度から、デジタル庁でも生成AIを業務にどんどん使っていこうということになりましたが、まだ当時はどんな業務にAIを使うのがいいのか分からないということで、まずはユースケースの発掘を目的とした実証実験を行いました」(森参事官)

これには、OpenAI社のGPT-3.5、GPT-4、Anthropic社のClaude 2.1といった当時高性能だった商用LLMのほか、東京工業大学(現東京科学大学)のSwallowも利用されたという。

検証されたユースケースは以下だ。

・文書作成業務に不慣れな職員が、テキスト生成AI+プロンプトテンプレートを活用して、それなりの品質のものを高速に作成
・補助金に関するテキスト情報を生成AIに与え、jGrants(Jグランツ=デジタル庁の補助金電子申請システム)に、その補助金を乗せるべきかどうかのスコアと理由付けを出力して参考にする
・法案作成時の大量の既存の法令検索作業を生成AIで自動化
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