日本の行政は「生成AI」の活用が遅れているのか 避けられない労働人口の減少を切り抜ける唯一の鍵
さらに、労働者人口は都市部に集中していくので、地方の行政を支えていくことが困難な時代がやってくる。それを支えるためには、AIの活用は不可避だ。
もちろん、そこには一定のガイドラインが必要となる。「AIを実装するには、リスクへの対策をきちんとしなければならない。イノベーションの促進と、リスクの対応を両輪とし、積極的に活用していきたい」と、森参事官は語る。
ハルシネーションなど、生成AI特有の誤情報が紛れ込むかどうかは使い方次第という側面もある。行政の仕事として多い定型書類の処理など、生成AIのメリットが出やすい使い方を中心に扱えば、大幅な省力化を見込める。行政全体のデジタル化を支援するデジタル庁としては、運用のガイドライン、指針づくりが主な仕事となる。
安全に使うためのガイドライン修正の経緯
昨年(2024年)6月に閣議決定された『デジタル社会の実現に向けた重点計画』でも、AIについて触れられ、3つの柱として「AIのイノベーションとAIによるイノベーションの加速」「AIの安全・安心の確保」「国際的な連携・協調の推進」を進めていくとされた。
政府全体としてもAIの活用方針として「リスクへの対応」「利用促進」「開発力の強化」を挙げており、その指令塔は内閣府になる。「利用促進」のうち「中央省庁における利用促進」と「開発力の強化」、「学習データの整備・提供」がデジタル庁が扱う業務だ。
「政府としては以前から生成AIや機械学習というものに注目しておりましたが、2022年11月のChatGPTの登場をきっかけに、政府においても業務に利用していこうという動きがあった一方、当時はまだ未知のものでしたのでリスクについても慎重に検討していました。要は生成AIに情報を入力することで、情報が漏洩するんじゃないかという問題です。そこで、当時は各省のAI担当を集めたチームへ報告することになりました」(森参事官)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら