全国初「神戸市タワマン空室税」検討で揺れる正論 「廃墟化する」vs「家賃の値下げバトルに」で論争
日本の不動産課税制度において、土地は住宅を取り壊して更地にすると土地にかかる固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍高くなってしまう。
固定資産税が高くなるのは、「住宅用地特例」という減税制度の特例が適用されなくなってしまうからだ。そもそも、住宅が建っている土地は「住宅用地特例」により、最大で固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に減税されている。更地にすることで、この減税制度が適用されなくなるのだ。
しかし、近年は空き家の放置が増大し、この制度が問題視されてきた。何らかの理由により空き家となり、朽ちてきて近隣にも危害を与える可能性があったり、廃墟化が景観を阻害するような状況になる。ただ、それで所有者が建物を取り壊して更地にすると固定資産税が増大することになってしまう。
そこで、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成27年に施行、令和5年改正法施行)により、空き家の放置物件を減らすための施策が実施された。そのひとつとして空き家に高い税額を課すという対策が行われた。一定の条件に当てはまる空き家は、「特定空き家」として区分され、減税措置は適用されないこととなった。
熱海市は別荘税を導入済み
熱海市は日本で唯一、別荘等所有税(別荘税)を導入している(→熱海市長が目論む「入湯税と宿泊税」の二重取り)。熱海市は住民登録をしていない別荘所有者には固定資産税に加え、別荘税を課している。税率は延べ床面積1平方メートルにつき年額650円だ。
京都市では、非居住住宅の所有者を対象とした「非居住住宅利活用促進税」を導入することとが決まり、課税開始は令和11年度を予定している。その理由として、「京都市に居住を希望する人への住宅の供給を妨げるとともに、防災上、防犯上又は生活環境上多くの問題を生じさせ、地域コミュニティの活力を低下させる原因」を挙げている。
京都市は、市街化区域内で利用されていない空き家や別荘などについて、居住実態がないことを条件として家屋の固定資産税評価額の0.7%(家屋価値割)と、土地平方メートルあたりの固定資産税評価額×家屋の床面積×税率(0.15~0.6%)(立地床面積割)を課税する。税額については、固定資産税額(土地+家屋)の半額程度になる場合が多い(京都市HP)としている。
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