中国の農業の現場でドローン(無人機)の応用分野が広がり続けている。当初は農薬の散布から始まり、今では種まき、肥料の散布、養殖池への飼料投入などにも日常的に使われるようになった。
そこに新たに加わったのが、果実などの作物をドローンに吊り下げて空中輸送する用途だ。
「吊り下げ運搬は農業用ドローンの重要なアプリケーションの1つになった」。中国の民生用ドローン最大手、大疆創新科技(DJI)の農業用ドローン部門である大疆農業(DJIアグリカルチャー)の開発エンジニアは、12月11日に開催したメディア向け説明会でそう強調した。
先駆者は山間部の果物農家
背景には、農業用ドローンの性能向上により運搬可能な重量が増えたことがある。それに目をつけた山間部の一部の果物農家が、輸送の便が悪い山の上で収穫した柑橘類などをロープでドローンに吊り下げ、麓まで運び始めたのだ。
「わが社としては、そのような使い方は推奨しなかった。なぜなら、それらのドローンは貨物の吊り下げ運搬を想定した設計ではなかったからだ。飛行中に(ロープで吊り下げた荷物が揺れて)過大な慣性が加わった場合、ドローンが制御不能になり墜落するリスクがあった」
大疆農業のグローバル・マーケティング部門の責任者を務める瀋暁君氏は、そう振り返る。
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