2024年の「ドラマ視聴率トップ10」驚きの結果 流行語「ふてほど」は?1年のドラマ総まとめ
一方、近年のNHKには名作が多いが、当たり外れの大きい朝ドラでも2024年度前期の『虎に翼』はとくに評価が高く、世の中的な話題になった。
また、作品ごとにさまざまなテーマ性を掘り下げる夜ドラでは、『作りたい女と食べたい女 シーズン2』や『VRおじさんの初恋』がSNSで盛り上がり、枠の知名度を押し上げる役割を担った。
加えて、10月期の土曜ドラマ『3000万』が異彩を放っていた。NHKによる脚本開発プロジェクトから生まれた、若手脚本家4人による共同執筆のドラマだが、どこにでもいそうなふつうの家族が、ちょっとした出来心から闇バイトに巻き込まれていくストーリーには、誰もの身近にある暴力と犯罪のリアルがあり、従来のドラマとは一線を画すような肌触りの世界観に圧倒された。
NHKドラマの質の高さを痛感したのも今年の特徴かもしれない。
ドラマ発IPも生まれそうな名作
民放の10月期(秋ドラマ)でも、特筆すべき興味深い作品がいくつかあった。
年間平均世帯視聴率で10位にランクインした日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)は、戦後の端島(軍艦島)を映像で再現したスケールの大きさから、映画のような重厚な質感の描写、戦後と現代の70年を越えるふたつの時代を重ね合わせるメッセージ性の高いストーリーなど、すべてにおいてスケールが破格。近年の民放連続ドラマの枠を超えた社会派エンターテインメント大作の人生賛歌だった。
また、稀に見る秀逸な叙述トリックで視聴者を驚嘆させたのが『全領域異常解決室』(フジテレビ系)。オカルトチックな事件を異端刑事が科学捜査とロジックで解決していく正統派の刑事ドラマのように展開しながら、中盤で物語をひっくり返す。その本筋は、現代社会で人間に紛れて生きる、特殊な力を持つ神々の闘いを描く本物のオカルトドラマだった。
今を生きる八百万の神々の戦いは、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンド使いや、人気アメコミのマーベルシリーズに出てくるスーパーヒーローたちのそれのように見える。
八百万の神という日本文化に深く関わっている点も日本人にとって親和性が高く、興味深い。この先のフランチャイズ化も視野に入る、強力なIPがフジテレビから生まれた。
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