廃棄に待った!ホテルの食品ロス減"確かな一手" 宴会シーズン 客側も「食べ残し」しない意識を

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筆者が訪問したときには、パンの余りを活用した「ラスク」を試食させていただいた。

総料理長・岩崎均氏の説明によれば、宴会でパンを提供するときには「おかわり」と言われてから焼くわけにはいかず、その量もわからないので、あらかじめ人数に比例した個数を用意しておき、求められればすぐに出す形をとっている。

しかし、どうしてもパンが残ってしまう。昔は残ったパンをパン粉にして利用していたが、残ったパンをカットしてストックしておき、それを乾燥させてチョコレートやメープル味のラスクにして販売するようになったという。

ラスクに加工する前のパン
ラスクに加工する前のパン(写真:筆者撮影)
販売しているラスク
売店で販売されているラスク(写真:筆者撮影)

従来は、多めに作らなければサービスとして提供できない食べ放題メニューでも、余った食材は大量に廃棄するしかなかった。しかし、残った食材を加工し、新たな商品として販売することで、フードロスの削減に大きく貢献している。

「3010運動」の展開

3010(さんまる・いちまる)運動は、宴会時の食べ残しを減らすために、乾杯後30分間と宴会の終了前10分は料理を楽しむよう呼び掛けて、食品ロスを減らしていく運動である。

2011年に長野県松本市から始まったこの運動を、2018年より日本ホテルおよびグループホテルのJR東日本ホテルズ全体の取り組みとして展開するようにした。

下図のように「事前打ち合わせ」→「開催当日」→「イベント開催中」→「終了後」を「食品ロス削減サイクル」の各段階で取り組み、宴会料理の完食率向上を目指すようにしている。

食品ロス削減サイクル
食品ロス削減サイクル(出所:日本ホテル「“食品ロス削減”の取り組みに関わる情報開示について」)

取り組みの開始後、コロナ禍の影響もあったため経年比較が難しいが、2018年と2019年の一定期間を比較すると、エドモント全体で16%の生ごみが削減され、宴会終了後の生ごみでは14%が削減されている。

「食品ロス削減サイクル」各段階におけるスタッフの、現場での細やかな工夫、配慮、声掛けが食品ロス削減に大きく貢献しているのだ。

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