京都の老舗を支える「よきパートナー」という思想 自社だけでなく、客や取引先とともに成長する

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こんなこともあります。京都の東寺にある五重塔。これは伝統的な木造建築の中では日本で最も高い建物です。高さは、55メートル近くもあるのですが、落雷や焼失で何度も建て直されてはいるものの1200年以上も地震で倒れたことがないのです。

この東寺の五重塔。実は、釘を使っていない建築です。だから、さびない。1200年以上も昔につくられたこの革新的技術こそ、SDGsの時代の救世主として見直される動きもあります。現代の建築基準法とは別次元での安全性の担保と、すべて自然に返る素材。

いまなお生き続けている京都の「歴史建造物」

過去を振り返ることで、逆に革新を生み出す企業も多くあります。実際、五重塔のすごさを教えてくれたのも120年以上続く老舗企業であるお客さまです。老舗でありながら、社是は、「パイオニアたれ」です。

『お金は使うほど、会社は強うなりますねん 京都の老舗を見てきた税理士が教える経営と会計』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

400年以上の歴史がある別のお客さまも、木造建築である五重塔や歴史建造物の話をよくされます。なぜ、1200年以上も経た現在に、「遺跡」とならず、現存しているのかと。世界を見渡せば、たいてい歴史的な建造物は「遺跡」となっています。でも京都にある歴史建造物は、いまなお、生き続けているのです。

そんなことを頭の片隅に感じながら、経営をできるのが京都なのかもしれません。

アップルのCEOだったスティーブ・ジョブズは、京都には何度も足を運んでいました。アップルの製品は、ただの電化製品という次元を超え、熱狂的ファンを持っています。その要因は、iPhoneに代表されるように、まったく新しい技術での革新的製品であること。加えて、美しさ、芸術性、製品にこだわる念(おも)いの深さが製品に乗り移り、熱狂的なファンをつくっているのかもしれません。

その昔、それぞれの時代で「ありえない」「信じられない」を生み出し続けてきた人類。1000年以上たったいまでも、人々の心を打つ建造物のように過去を振り返るからこそ、革新が生まれるのです。

入口 純子 税理士、アンビシャスグループ代表

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いりぐち じゅんこ / Junko Iriguchi

京都生まれ京都育ち。アンビシャスグループ代表。税理士、FP、
上級経営会計専門家、登録政治資金監査人等の資格を有する。財
務力アップで企業再生から成長企業への道をひらく、企業再生
分野における女性税理士の第一人者。龍谷大学を卒業後、薬品会
社の経理・財務に従事しながら大阪学院大学大学院修士課程修
了。2002年入口純子税理士事務所を創業(現:アンビシャス税理
士法人)。経営計画策定支援を通じ、これまで70社以上の経営改
善を支援している。金融機関からの協力合意はほぼ100%、経営
改善計画策定後、関与先企業の86%が3年以内に黒字化するな
ど京都府内トップクラスの実績。経営者や商工会議所指導員、京
都市内地元金融機関向けの講演ほか、税理士等への経営改善、経
営計画策定セミナーなども行なっている。

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