社内外メンバーで「チームワークを高める」3要点 「2035年には働き方が大きく変わる」報告書も
柔軟なチーム運営が主流に
マネジメントのあり方も変わる
これまで、日本企業の組織運営は「固定メンバーによる定型業務」ありきで成り立っていた。このアプローチは、組織内での安定した関係性が重視され、決まったメンバーで効率的に仕事を進めることができた。
しかし、現代のビジネス環境では、働き方や組織運営のあり方が変わりつつある。とくにプロジェクトをベースにメンバーが変わる柔軟な働き方や、社外との協働、イノベーション創出がますます重要になっている。
「従来は『同じ会社で働く仲間』だけで仕事を進めることがほとんどでした。しかし最近は、パートナー企業やフリーランスなど、所属が異なる人と共にチームを組んで働くケースが増えています」と現状を分析するのは、ヌーラボでビジネスグロース部門の責任者を務める原田泰裕氏だ。
「2016年に厚生労働省が公開した報告書では、35年には働き方が大きく変化しているとされています。具体的には、人が企業の内外を自由に移動しながらミッションや目的の明確なプロジェクトに参加する、柔軟な労働環境が主流になるという予想です※1。
業務内容の変化に合わせて次々に企業を移動するので、正社員、非正規社員などの区分はほとんど意味を失い、個人事業主と社員の境界もあいまいになるとされています。そして今、すでにその時代に突入しています。
実際、当社が24年8〜9月に行った調査※2では、5年前に比べた働き方の変化として『さまざまなスキルを持つ人を複数交えたチームで働くことが増えた』や『多様な価値観を持つ人を複数交えたチームで働くことが増えた』などが挙げられました」(原田氏、以下同)
リモートワークや副業、プロジェクトベースの働き方が普及し、多様な価値観やスキルを持つ人材同士でチームを組むケースは増えていくだろう。こうした変化に対応するためには、多様なメンバーと効率的に連携する必要がある。
中小企業やスタートアップにとっても、優秀な外部人材との協業は、事業成功の生命線となるはずだ。
しかし、異なるバックグラウンドを持つメンバー同士が、物理的な距離を越えて連携するのは難しい。例えば、コミュニケーションの障壁や進捗管理の難しさなどが想定される。
上記のヌーラボの調査でもその傾向が明らかになった。例えば「多様なスキルを持つ人を複数交えたチームで働くうえで課題に感じていること」として、「共通の目標や方向性をすり合わせること」、「役割や責任の分担が不明確になりがちなこと」が挙げられている。
「特定の目標を達成するために異なる部門や専門分野からメンバーが集められたチームがうまく機能しないケースはよくあります。その原因として考えられるのは、メンバー同士のコミュニケーション不足や、タスク管理、進捗管理の難しさ、そして孤立感などです。
そもそも日本の大企業には、ワークマネジメントの概念が浸透していないことも多いように思います。よくあるのは、タスク管理がメンバー個人任せで、チームで共有する文化がない状態。部門や専門を横断したチーム編成になった途端、大きな課題に直面してしまいます」
こうした課題を乗り越え、チームのパフォーマンスを最大化するためには、従来のトップダウン型の管理手法とは異なるマネジメントが必要となる。その具体的な手法として、ヌーラボが提唱するのが「チームワークマネジメント」だ。
「チームワークマネジメントとは、異なる所属や組織の人々がワンチームとなり、1つの目標に向かって協力するための手法です。軸となるのは、明確な目標設定と役割分担、リーダーシップの3要素です。多様性豊かなメンバーとコラボレーションして仕事を進めるうえでの前提ともいえます」
チームワークマネジメントを実践する具体的なメリット
チームワークマネジメントを実践すると、企業には具体的にどんなメリットがあるのだろうか。原田氏は、主に「意思決定の迅速化」「業務効率の向上」「従業員エンゲージメントの向上」などがあるという。
「チーム全体で情報を共有しやすい環境をつくることで、迅速かつ柔軟な意思決定ができるようになります。また、メンバーのスキルと経験を生かしたタスク分担や、業務プロセスの可視化により、無駄な作業を減らして業務効率化を進められます。
一人ひとりが自分の役割や責任を明確に理解し、チームへの貢献を実感することで、モチベーションやエンゲージメントの向上も期待できるでしょう。さらに、メンバーが当事者意識を持つことで積極的な意見交換や情報共有が起こり、風通しのいい組織文化にもつながります」
とくにリモートワーク環境下では、コミュニケーション不足や進捗管理の難しさなどを課題に感じるマネジャーが多い。チームワークマネジメントによってこうした課題を克服し、従来以上の成果を上げることも可能だという。
「まず、異なるスキルや専門知識を持つメンバーが協働することで、新しいアイデアやシナジー、イノベーションが生まれやすくなります。仕事のスピードと質が上がり、コスト削減も期待できます。ビジネスの成果にも好影響を与えるのは間違いないでしょう」
経営者がするべきことは、具体的な目標設定と役割分担
では、チームワークマネジメントを機能させるため、経営者がするべきことは何だろうか。まずは各メンバーの役割を明確にし、組織の目標に対して自律的に邁進できる環境を整えることだ。
「チームワークマネジメントを進めるなら、まず経営者がその重要性を理解し、音頭を取って推進していく必要があります。なぜなら、同時に古い働き方や縦割り型の意思決定から脱却し、チームワークと自律性、リーダーシップを重視するカルチャーに変わる必要があるからです。
リーダーシップは、経営者やマネジャーだけが持つ『機能』ではありません。メンバーそれぞれが自分なりのリーダーシップを持ち、十分に発揮できる環境があれば、当事者意識は高まっていくでしょう。
また、メンバーも全員がチームワークマネジメントの考え方を理解し、自律的に行動することで、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。全員が全体の目標と各自の役割を認識し、主体的に取り組むことが重要です」と、原田氏は力を込める。
目標はあいまいなものではなく、定量または定性で具体的なものにすることがポイントだ。さらにチームのミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、メンバーが困難な状況に直面した場合でも立ち戻れる拠り所となるという。
「各メンバーの役割を明確にすることで、無駄な作業を減らし、本質的なタスクに集中しながらプロジェクトを進めることができます。そのための手段として有効なのは、例えばチームワークマネジメントに向いたツールを活用することです」
シンプルかつ柔軟なチームワークマネジメントへ
デジタル活用が武器になる
上質なデジタルツールは、チームワークマネジメントの効果を発揮するための武器となる。タスク管理やチーム内の情報共有、コミュニケーション、進捗管理などを効率的に行えるツールは複数存在する。
中でも、チームワークマネジメントを支援する機能を豊富に備えているのが、ヌーラボが提供するプロジェクト・タスク管理ツール「Backlog」だ。
Backlogは、シンプルながらも柔軟性の高い設計思想に基づいて開発されている。IT企業やベンチャーだけでなく、全国のさまざまな業界・規模の企業で幅広く活用されている。
Backlogの最大の特徴は、タスク管理やWiki(ナレッジ共有機能)、ファイル共有、ガントチャートやカンバンボードなど、チームワークに必要な機能が包括的に提供されている点だ。
ほかのツールを併用することなく、プロジェクト内外のコミュニケーションをカバーできる。
「Backlogでは、全体の進捗状況がリアルタイムで可視化されるので、メンバー全員が最新の情報を共有できます。結果、コミュニケーションが円滑になり、チームワークや業務効率の向上につながります。
メンバーが自分のタスクを正しく把握し、主体的に行動できるようになる点もメリットで、いわゆる指示待ち型の働き方から脱却できます」
情報をBacklog上のオープンな場所に可視化することは、透明性の高いカルチャーの醸成にもつながる。つまり、単に業務効率を向上させるだけでなく、組織の変革にも役立つのだ。
「メンバーが持っているタスクの状況やプロジェクト全体の進捗が共有されず、不安を感じているマネジャーは多いと思います。ツールを使って情報を可視化できれば、それが解消され、より本質的な仕事に集中できるのではないでしょうか」
チームワークマネジメントは、単なる一マネジメント手法ではない。変化の激しい時代に勝ち残り、持続的な成長を目指す企業にとっての戦略といえるだろう。
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※1 出所:厚生労働省「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会『「働き方の未来2035」~一人ひとりが輝くために~』報告書
※2 出所:ヌーラボ「チームワークマネジメントに関する調査」(2024年8月29日〜9月2日調査実施、N=1200)