「人的資本強化」へリーダーが知っておきたい3点 カギとなる「チームワークマネジメント」の中身
関心高まる「人的資本」をチームに生かすためには
人的資本とは、従業員の知識やスキル、経験、能力といった企業の資産を最大限に生かすことで、生産性や競争力を高め、企業価値向上につなげる考え方である。
例えば、技術革新のためには単に技術を持つだけでは足りない。その技術を応用し、ビジネスに生かすための創造的な思考や、他社を含めたチームメンバーの協力が必要だ。そのため、個々の従業員のスキルや知識だけではなく、それらを連携させる能力が重要となる。
「人的資本は、イノベーションの源泉であり、技術革新や新しいビジネスモデルの創出に不可欠です。競争が激化し、技術の進化が急速に進む現代においては、人的資本の活用が企業の成長を左右する重要な要素です」
そう語るのは、ヌーラボの創業者で代表取締役の橋本正徳氏だ。
人的資本への注目度が高まっていることは、近年の国の動向からも明らかである。その一例が、2023年3月期から大手企業などに義務化された有価証券報告書への人的資本関連情報の記載だ。具体的には、人材育成方針や従業員エンゲージメントなどに関する項目の開示が求められている。
「人的資本を有効活用するためには、個々の従業員が持つ能力を発揮できる環境を整えるだけでは不十分です。パートナー企業のメンバーやフリーランス人材など、社内外の人材も含め、チームとしての力を引き出すことがポイントです。
そこで、個々の能力や知識を組織全体の目標に結び付け、効率的かつ協力的に仕事を進めるための『チームワークマネジメント』が重要になります」(橋本氏)
チームワークマネジメントとは、異なる所属や組織の人々が1つの目標に向かって協力するための手法だ。各メンバーが明確な目標に向かって一丸となり、自分の役割を理解すること、そして自主的にリーダーシップを発揮できる環境が求められる。そこに仕事をしっかりと管理する、ワークマネジメントの要素が加わることで、チームワークマネジメントは機能する。
チームワークマネジメントが「人的資本」を強化する
橋本氏は、チームワークマネジメントが人的資本の強化に大きな影響を与えると話す。
「チームワークマネジメントの重要な要素として挙げられるのは『共通の目標を持つ』『メンバーの役割を明確にする』『リーダーシップを発揮する』の3つです。人的資本の開示においてもこれらが関連します。
まず、『共通の目標を持つ』です。メンバーが企業のミッションやビジョン、バリューを理解し、かつそれらを共有することが、企業にとって重要です。そしてそれが、従業員エンゲージメントを高める要因となります。
次に『メンバーの役割を明確にする』です。人的資本の強化のうち、とくに人材の確保や定着化には、役割を明確にすることが大いに役立つと考えています。自分の役割が明確であれば、ある役割を果たし、フィードバックが返ってきた際、『次はこうしよう』と思えるようになります。
最後に『リーダーシップを発揮する』は、人材育成の分野に関連が深いと考えています。リーダーシップの育成は、チームワークマネジメントを強化し、さらに人材育成にもつながります。これらは相互に影響し合い、組織の成長を支える基盤になります」
一方で、部門や企業組織の枠を超えて、異なるバックグラウンドを持つ人が集まるチームには課題もある。ヌーラボのビジネスグロース部門の責任者である原田泰裕氏は、次のように説明する。
「異なる価値観や言葉の定義の違いが原因で摩擦が起きる可能性があります。とくに、専門知識や共通言語の有無による行き違いが頻繁に発生しています。
解決のためにはまず、共通の目標を明確に設定し、それを全員が理解できる形で共有することが重要です。マネジャーの立場では、メンバーが自分の役割を理解し、サポートし合える仕組みづくりが必要だと考えます」
タスクの可視化と、コミュニケーション履歴の資産化
こうした課題の発生を防ぎ、チームワークマネジメントを発揮するために活用できるのが「Backlog」だ。Backlogとは、チームの協働を円滑に進めるためのクラウドベースのツールで、プロジェクト・タスク管理、進捗確認、メンバー間のコミュニケーションを一元管理できる。
Backlogには、タスクごとに「課題」で経緯を記録できる機能、各タスクの進行状況を可視化する「ガントチャート」機能、そしてタスクの量や状態を表す「ボード」機能などがあり、効率的なプロジェクト遂行を後押しする。また、ファイル共有やコメント機能も充実しており、複数部門との協働においても有効活用できる。
「Backlogを活用いただくいちばんのメリットは、『チーム内のコミュニケーションをスムーズに進めることで、プロジェクト管理が大幅に効率化される点』です。タスクの進捗状況をリアルタイムで全メンバーに共有でき、現状把握が容易になります。そしてそれが、生産性の向上にもつながります。
また、過去のタスクにおいてメンバー同士でコミュニケーションを取った内容が、すべて履歴として残り、組織の資産となります。履歴を次のプロジェクトの計画や業務改善などに生かせるので、継続的な成長が可能です」(原田氏)
業務の効率と感覚的な楽しさを両立させるUI設計
Backlogを活用すると、チームワークマネジメントの3要素をスムーズに実現できる。
また、仕事の効率化だけではなく、楽しさも重視した設計思想がBacklogの特徴だ。ヌーラボは2004年の創業以来、「楽しく仕事ができる人、チームを増やしたい」という思いを基にサービスの開発、提供を続けてきた。Backlogにもその思想が反映されている。橋本氏は、開発初期からのこだわりを次のように話す。
「仕事を楽しくできるようなユーザーインターフェースを作りたいと思っていました。というのも、当時の仕事用ツールは、効率性を重視しており、楽しさを感じられる要素がなかったからです。効率的に仕事を進めるためのツールという印象が強いと感じていました。
楽しくなければ誰もそのツールを使わないからというシンプルな理由がいちばんです。『やらされ感』のない、『感覚的に楽しい』ツールにすることを大事にしています」
チームワークマネジメントを機能させるうえで、経営者やマネジメント層に求められるマインドセットとは何か。橋本氏は次のように語る。
「1人の優秀な人材に頼るよりも、チーム全体の力を引き出すことが経営者やマネジャーに求められる重要な役割だと感じています。チームワークが機能すれば、優秀な人材も自然と輝きます。
大切なのは、チーム全体に期待を持ち、そのチームをうまくマネジメントする力。特定の『スター』の出現を期待するのではなく、チーム全体の力を信じて育てる環境づくりが必要ではないでしょうか」
ビジネスの競争を勝ち抜くためには、全員が共通の目標に向かい、チームの価値を最大化することが重要だ。ヌーラボはBacklogなどのツールを通してその実現を支え、効率的かつ楽しく仕事を進める仕掛けを提供し続けている。
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