栄光学園の元・数学教師、井本陽久が不登校の子に「学び場」をつくった真因 居場所との違いは?子どもが楽しく通う仕掛け

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小中学校における不登校が全国的に増える中、不登校の子が安心安全に過ごすことができる居場所づくりが急務となっている。文科省もカリキュラムなどで柔軟な対応を認める「学びの多様化学校」(不登校特例校)や、空き教室を使用する「校内教育支援センター」の拡大で支援を強化しているが、民間でも支援の輪が広がりつつある。そんな中、「居場所も大切ですが、学びの機会の確保も必要ではないか」と考え、不登校の子に学び場をつくった教師がいる。神奈川県の進学校、栄光学園の元・数学教師、井本陽久さんに教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が話を聞いた。

全国で30万人近い小中学生が不登校になっており、フリースクールなど子どもたちの居場所づくりが課題になっています。もちろん居場所も大切ですが、学びの機会の確保も必要ではないか。

そんな課題を感じている中で、単なる居場所ではなく、しかも子どもたちが夢中になって学べる場所がある。しかも学校と併用しているケースもあると聞き、行ってきました。

中曽根陽子(なかそね・ようこ)
教育ジャーナリスト/マザークエスト代表
小学館を出産で退職後、女性のネットワークを生かした編集企画会社を発足。「お母さんと子どもたちの笑顔のために」をコンセプトに数多くの書籍をプロデュース。その後、数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして紙媒体からWebまで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。「子育ては人材育成のプロジェクト」であり、そのキーマンであるお母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。著書に『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)、『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)などがある
(写真:中曽根氏提供)

今回取材した「いもいも」の共同代表・井本陽久さん(通称いもにい)は、神奈川県にある進学校の栄光学園中学高等学校で数学教師として、20年以上前から独自の幾何教授法や、思考力を重視する授業を実施。アクティブラーニング型授業の先駆者として全国から教育者が視察に訪れ、それがNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』にも取り上げられた経歴の持ち主です。

その傍ら2017年から思考力教室「いもいも」を主催。2019年からは「いもいも」での活動に軸足を移すために栄光学園の非常勤講師となり、今年4月から「いもいも」に専念しています。

とはいえ、「こんな教育をしたい! という思いを持って立ち上げた訳ではなく、その時々にいろいろな方が手を差し伸べてくださり、導かれてきて今がある。でもだからこそ、嘘くさいことはしない。何をせよということなのかは常に考えている」と言います。そんな井本先生が作ったいもいもとはどんな場所なのでしょう。

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