「四足歩行の若者が続出」ロシアで大問題なワケ 歌手や政治家、ロシア正教も問題視している

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ネコや狐などの動物のマスクやミミ、しっぽなどをつけて四足歩行をする"クアドロバー"(写真:クアドロバーのYouTubeより)

今、「クアドロビクス」というサブカルチャーがロシアで話題を呼んでいる。あまり日本ではなじみのない用語だが、ネコやキツネなどの動物のマスクやミミ、しっぽなどをつけて、四足歩行をするという「遊び」だ。TikTokなどのSNSでも話題を呼び、流行しているようだ。

それだけ聞くと、子どものごっこ遊びや若者のコスプレに過ぎないようにも思えるが、このサブカルチャーが、ロシアの国会を巻き込んでの社会問題となりつつある。強面外交官のラヴロフ外相までがアルメニアのミルゾヤン外相との会談(10月8日)で、「おたくの国ではクアドロビクスが流行っていますか?」と質問したほどである。

問題視されるようになったきっかけ

この流行自体は今年の春ごろからロシアで徐々に始まったのだが、あっという間に広まり、すでにクアドロビクス用の変装道具の市場も生まれている。

青少年のこうした「奇異」な行動には当初から賛否両論あったらしいが、社会問題化するきっかけになったのは、ロシアの女性ポップシンガー、ミーア・ボイカが8月末に開催された自身のコンサートにおいて、公衆の面前でネコの恰好をしたクアドロバー(クアドロビクスをする人)に対して否定的な発言をしたことだ。

そのクアドロバーがティーンエージャーの少女だったことから、この行動は人格否定だとして批判を呼び、結果的にクアドロビクスをどう考えるかを問いなおすきっかけを多くの人に与えることになったのである。

【写真】国会議員がいつか「悲劇的な結果につながる」と懸念を強めている四足歩行の「クアドロバー」たち
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亀山 陽司 著述家、元外交官

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かめやま ようじ / Yoji Kameyama

1980年生まれ。2004年、東京大学教養学部基礎科学科卒業。2006年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修了。外務省入省後ロシア課に勤務し、ユジノサハリンスク総領事館(2009~2011年)、在ロシア日本大使館(2011~2014年)、ロシア課(2014~2017年)など、約10年間ロシア外交に携わる。2020年に退職し、現在は森林業のかたわら執筆活動に従事する。北海道在住。近著に『地政学と歴史で読み解くロシアの行動原理』(PHP新書)、『ロシアの眼から見た日本』(NHK出版新書)

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