「医師で作家」が精神崩壊寸前で気づいた"幸せ" 「勝ちまくった人はいずれ精神に変調をきたす」

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勝ちまくった人が幸せだろうか。羨ましいけど、幸せそうには見えない人ばかりだ。有名人なんて離婚したり薬物をやったり、プライベートを暴かれたり、嫌な目にあってばかりではないか。僕は、はるか遠くに掲げた目標の「勝ち」という看板を外し、代わりに「幸せ」に掛け替えたのだ。

僕はともかく「幸せ」にフォーカスすることにした。もう少しわかりやすく言うと、「自分と自分の家族の幸せを第一に追求する」だ。

僕が「幸せ」を追い求めることになってどう変わったか。勝っても負けても、「まあこんなもんかな」と冷静に見つめることができるようになった。いろんな勝負はあるけれど、その中で、幸せが最大限になる選択肢はどれかな、と考えるようになったんだ。

そしてどうなったか?

これは大きな変化だった。自分が本当にやりたいことだけをやる、と決めたのだ。

僕は今、いろんなお医者さんと一緒になって本を作っている。「初めての教科書を書きませんか」とおせっかいにも持ちかけ、一緒に内容を考え、出版社の編集者さんとともに原稿を磨き上げていく。

他にも、大学で学生さんに講義をしている。いただくお金は学生のアルバイト代より安い。それでも、幸せを感じるから引き受けるようにしている。

『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』書影
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中山 祐次郎 外科医

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なかやま ゆうじろう / Yujiro Nakayama

1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部医学科卒業後、都立駒込病院、福島県高野病院院長、総合南東北病院外科医長を経て、湘南東部総合病院外科に勤務。2023年、福島県立医科大学で医学博士。21年に京都大学大学院医学研究科で公衆衛生学修士。専門は大腸がんや鼠径ヘルニアの手術、治療、外科教育、感染管理など。資格は外科専門医、消化器外科専門医、がん治療認定医、ロボット手術プロクター(指導者資格)。小説『泣くな研修医』(幻冬舎)はシリーズ57万部を超えるベストセラーに。著書に『医者の本音』(SBクリエイティブ)、『俺たちは神じゃない 麻布中央病院外科』(新潮文庫)、『幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと』(幻冬舎)など。二児の父。

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