「主体性のなさを露呈」石破首相が"変節"した事情 目立つ論功、「高市造反・茂木排除」で分断拡大
新内閣閣僚20人の平均年齢は63.6歳。直近の第2次岸田再改造内閣発足時(2023年9月)の63.5歳と同レベルだが、歴代内閣に比べれば高齢だ。当選回数は石破、村上両氏の12回が最多。最高齢は伊東氏の75歳、最年少は福岡資麿厚生労働相の51歳で、初入閣組も衆院5回以上か参院3回以上のベテランのため、40歳代の若手閣僚は姿を消した。
政権発足前後からの動きを俯瞰すると、「党内野党で人脈も幅広さに欠ける石破首相に大きな影響力を行使しているのが森山裕幹事長」(自民長老)であることは明らか。その一方で、副総裁となった菅義偉元首相と、林官房長官らを通じて「実質的な石破首相の後見役」(同)とみられる岸田氏による「第3次岸田・第2次菅合体政権」の構図も見え隠れしている。
総裁選で高市氏を支持した麻生太郎前副総裁を、故中曽根康弘元首相以来の「最高顧問」としたことについては「岸田氏の助言によるもの」(旧岸田派幹部)との指摘も。さらに、麻生派の後継者とされる鈴木俊一前財務相を、高市氏が固辞した総務会長に起用したことも、「麻生氏への配慮」(石破首相周辺)とみられている。
一方、総裁選告示直前に推薦人不足で出馬を断念、小泉陣営に加わった斎藤健前経済産業相と野田聖子元総務相が“冷や飯組”となったのは「露骨な人事狙いの行動が党内の顰蹙を買ったため」(政治ジャーナリスト)との見方も広がる。
発足時支持率は「過去最低レベル」の50%前後に
そうした中、政権発足直後に大手メディアが実施した世論調査も、石破首相ら新政権幹部の期待に反する結果となった。各調査の内閣支持率・不支持率を列挙(単位%)すると、朝日新聞=46―30=、読売新聞=51―32=、日経新聞=51―37=、共同通信=50.7―28.9=。支持・不支持はどれもほとんど同じで、しかも、「政権発足時の支持率としてはほぼ最低レベル」(アナリスト)だ。
石破首相が総裁選で大逆転勝利を果たした段階では「多くの国民は、これで自民党も大きく変わると期待した」(同)のに、その後の解散時期をはじめとする「総裁選公約」を巡る“変節”が、「国民の失望や不信につながった」(同)ことは否定できない。
新政権が2日から始動する中、石破首相は同日、バイデン米大統領、尹錫悦韓国大統領らと相次いで電話会談、さらには同夜に先進7カ国(G7)首脳とのオンライン会議に参加するなど、早速石破外交を本格化させた。「出だしでややつまずいた」(官邸筋)石破首相にとって、4日の所信表明とそれに続く7日以降の国会審議が「態勢立て直しの機会」(同)となるが、「国会論戦で自ら名付けた『納得と共感内閣』をきちんとアピールできるかどうかが、10・27衆院選結果や、その後の政局運営を占うカギとなる」(政治ジャーナリスト)ことは間違いなさそうだ。
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