石破茂が語り尽くす「地方を活性化する鉄道政策」 鉄オタでなく政治視点、過去インタビュー再録

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それなのに、なぜ鉄道の場合は、「儲からないとやめる」になっちゃうのかな。同じ公共交通インフラで均衡を失してはいませんか?

そういう根源的な問題がまず存在する。上下分離でインフラの部分は全部税金でみて、その上の部分、運行する部分だけを民間事業者でみればよいのではないか。こういう発想はこの国にはなかった。

赤字でもよいのかという議論だけれど、その鉄道単体で赤字か黒字かという話よりも、それを使った場合、そこの沿線の地域が全体で黒なのかい、赤なのかい?という見方が大事でしょう。そういう指標があんまりないよね。

2017年12月22日、議員会館の事務室内で本誌インタビューに応じる石破氏。書棚に寝台特急「出雲」のヘッドマークや寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の模型が飾ってあった(写真:尾形文繁)

乗って来たくなる地域を作るのが地元の仕事

北海道に行くと、「鉄道どうするの?」「宗谷本線を廃止するなんてとんでもない」っていう話があるわけ。国鉄からJR北海道に移行したときに基金を運用して赤字を補填しなさいということだったんだけど、今は金利水準がゼロになった。「JR北海道、頑張りなさい」っていうのは、それはちょっと酷じゃないのではとは思う。

当然、事業者も地元も利用客を増やす知恵みたいなものを総動員しないといけないよ。いすみ鉄道の鳥塚亮社長(当時)は「乗って残そう、何とか線、なんぞもってのほかだ」と。そんなことを言って残った鉄道なんか一つもないから。「乗りたくなる鉄道、乗って来たくなる地域を作るのが地元の仕事」だと話している。私もそう思う。

JR九州の「ななつ星」は、それ自体はたぶん赤字でしょ。でも、宣伝効果たるやすごい。唐池(恒二)さんの執念を感じる。世界一の列車、サービス、九州一おいしい米、肉、魚……。ゆっくり走って、大村湾の夕日を見るとかね。「今だけ、ここだけ、あなただけ」っていうサービスを目いっぱい詰め込んでいるじゃない。こういうネタは日本国中にあるんだよ。

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